MONOist ハノーバーメッセでは、ワークプレイスハブを前面に押し出すのかと思っていましたが、むしろ「画像技術」を中心としていた印象でした。
市村氏 IoTプラットフォームなどが乱立する中、ワークプレイスハブで新たに複合機に加えた機能は、既に同じようなことを提供する企業が数多く存在する状態だ。ハノーバーメッセにも数多くのITベンダーが出展しているが、どこも同じような提案をしている。重要なのは、IoTプラットフォームではなく、そこにどれだけ貴重なデータを持ち込めるかということだ。
オフィスでも工場でも紙をプリントするニーズや、スキャンを行うニーズは根強く存在している。ワークプレイスハブの強みはそうした複合機ニーズのある環境に、同じスペースでサーバやソフトウェアなどIoT基盤を構築できるという点だ。そこは確かに評価をもらえている。しかし、だからといって、それだけで「なぜコニカミノルタとIoTで組むのか」という理由にはならない。
IoTにおいてコニカミノルタをパートナーとする理由というのはむしろ、ワークプレイスハブがカバーする領域の外にある。その差別化技術が、画像技術や測定技術だといえる。こうした技術を活用することで、画像技術と産業用ロボットを組み合わせてワークプレイスハブにつなぎ、熟練者と同じような作業を産業用ロボットで行えるなど、より高度な自動化を実現することが可能になる。
データはセンサーを多く設置すれば、大量に取得できる。しかし、そのセンサーで取得した大量のデータの中で、価値を生むものは本当にわずかである。「Garbage in, Gabage out」などともいわれるが、いくら分析技術が発展したとしても、ゴミのようなデータばかりを集めていては、無意味な結果しか導き出すことはできない。
そのためコニカミノルタでは、ワークプレイスハブも含めエッジ層に焦点を当てた取り組みを進めている。エッジに焦点を当てるのは、分析に値する“きれいなデータ”を取得するためだ。そのためには画像技術や測定技術が必要になる。他社が取得できないデータを取得し、さらにその中で意味があるものだけ抽出して届けることができる。それがコニカミノルタの力であり強みだと考えている。
MONOist 画像などの測定技術が、IoT時代における差別化につながるということでしょうか。
市村氏 コニカミノルタは、伝統的に高い画像技術を持っており、見えないものを見たり、今までは測定できなかったものができたりする。これは大きなアドバンテージだと考えている。研究開発段階では画像の他に、臭いを定量的に測定する技術なども開発している。2016年3月に発表したニオイの"見える化"標準プラットフォーム「HANA(High Accuracy Nose Assist)」だが、こういう技術は単純に一般消費者向けだけでなく産業向けでも多くの用途があると考えている。例えば、機械が故障した時に機械内で臭いのする気体が発生する場合がある。その場合も臭いを計測できれば、保全することなどが可能になる。
センシング領域では外部企業との提携なども進めている。2017年3月には、産業用センサーメーカーのドイツSICKと戦略的提携を発表した。コニカミノルタの独自開発した3DレーザーレーダーをSICKにOEMで提供する他、SICKが持つ4万4000点のセンサーとワークプレイスハブなどを組み合わせたソリューションの展開などを進めていく。これらにより、データを取得するところで精度を高めていく。
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