玉川氏、内海氏、砂金氏によるパネルディスカッションには、たまたま来場(?)していたRuby開発者のまつもとゆきひろ氏も飛び入り参加した。
モデレータの玉川氏は「テクノロジーで潮目が変わるとき」として、近年注目を集めているIoTやAI、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)が、Webやソーシャルネットワークなどと同じようなキートリガーになると説明。その上で、最近の面白いテクノロジーとして、GoogleやMicrosoftのリアルタイム翻訳や、Googleの自動お絵描きUI、「Amazon Dashボタン」、分散型SNS「Mastodon」、3980円と安価な「Raspberry Pi Zero」などを挙げた。
そして玉川氏は「IoTってもうかるの?」と質問を投げかけた。内海氏は「IoTは、ぼーっとしていてももうからない。ARMにとってたくさんチップが出ても、1個当たりのチップが安くなればもうけは少なくなる。ぼーっとしないためにいろいろと手を打っている」と語る。砂金氏は「LINEは無償で利用されているが、匿名化した行動データなどを広告商品として販売している。今はスマートフォンからしか行動データが得られないが、IoTと連携できればより広い範囲の行動データが分かるようになり、広告単価も上がる」と述べる。まつもと氏は、「エンジニアにとって仕事は確実に増えるだろう。メシの種はいくらでもある」と述べ、IoTはチャンスになるという見方を示した。
鳥巣氏が紹介した4つの技術側のインパクトを参考に、注目しているIoT関連技術も紹介された。砂金氏は「コグニティブ/AIシステムのうち音声認識になる。LINEは『クローバ』という技術を開発しており、これで日中韓の市場を押さえたい。確かに『Amazon Echo』の勢いはすごいが、やはり欧米の言語が前提だ。音声認識はローカリゼーションが重要なのでそこに勝機がある」と語る。内海氏は「エッジコンピューティングに注目している。IoTはまずは分散コンピューティングが重要になるからだ。しかし、分散の流れの後はまた集中のトレンドがくる。その2030年ごろを見据えた技術開発が必要だ」と話す。まつもと氏は「エッジコンピューティングが伸びることで、組み込み機器のリッチ化が進む。そういったリッチな組み込み機器に役立つハイレベルな開発言語として、組み込み版のRubyであるmRubyを用意している」と述べた。
最後にエンジニアへのメッセージとして、「自分たちで価値を作って発信しよう。日本はIoTとAIでもう一度頑張れる」(砂金氏)、「技術立国の日本では、好きなことをやったらもうかる。好きなことをやろう」(内海氏)、「10回やって9回失敗するかもしれないけど未来を創るチャンレンジをすべきだ」(まつもと氏)と来場者に語りかけた。
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