ソラコムのエンジニア向けイベント「if-up 2017」の基調講演では、IoTを進化させる技術インパクトをはじめ、IoT関連のさまざまな話題の議論が交わされた。
ソラコムは2017年4月20日、東京都内でエンジニア向けイベント「if-up 2017」を開催した。基調講演の「IoTテクノロジー 今・未来」では、ソラコム社長の玉川憲氏、アーム社長の内海弦氏、LINE 広告・ビジネスプラットフォーム室 戦略企画担当ディレクターの砂金信一郎氏が登壇するキーノートパネルが行われた。
キーノートパネルに先駆け、IDC Japanシニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏が「IoT市場の広がりが引き起こす10大インパクト」を紹介。10大インパクトのうち、エンジニアとのかかわりが深い技術側の4つについて説明した。
1つ目は「IoTコネクティビティ(通信)」だ。LTEやPLC(電力線通信)、Wi-SUN、920MHz帯に加え、今後登場してくるLPWA(省電力広域無線ネットワーク)は2018年には全IoT回線の3%に達する。このような状況下では、これらの通信を用途/目的に応じて適材適所で組み合わせて使う必要が出てくるという。
2つ目は「データアグリゲーション」である。2025年のデータ年間生成量は、2016年の10倍となる160兆Gバイトに達するが。このうち8割は非IoTデータだが、IoTデータの量は2016〜2025年の10年間で大幅な成長を見せることになる。そこで、IoTデータと非IoTデータを組み合わせるデータアグリゲーションにより、産業特化型ソリューションの競争が加速するとした。例えば、自動車(IoTデータ)×保険業界(非IoTデータ)では既にさまざまな保険商品が生まれている。
3つ目は「コグニティブ/AIシステム」、いわゆる人工知能である。2016年まではコスト削減や人的労働力の置き換えが主な用途になっていたが、2020年に向けて、IoTデータと組み合わさることにより人間には実現できない判断スピードを代替するようになるとした。
4つ目は「エッジコンピューティング」である。現時点では、工場や病院の中で閉じている保守的な「現場志向型」が多くを占めているが、将来的にはより開かれた「分散協調型」に拡大すると予測。これによって、2020年までにIoTデータの40%がエッジ側で処理/分析されるという。
鳥巣氏は「ただしIoTのフレームワークにおいて、これら技術側の4つのインパクトは、残り6つのビジネス側のインパクトと連携することで価値を生み出す。エンジニアも技術とビジネスの両方にまたがる知識と理解が必要になる」という指摘も行った。
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