IoTデバイスのセキュリティに不可欠な要素とは : セキュリティを意識したIoTデバイス設計の勘所(3) (3/3 ページ)
IoTデバイスのセキュリティでは、デバイスの用途やハードウェア、ソフトウェアの制約などによって実装レベルや重視すべき要件は異なります。しかし、ライフサイクル全般において必要なセキュリティ要件をあらかじめ加味して設計されたデバイスを市場に投入することが重要です。
しかしながら、デバイスメーカーにおいては、セキュリティ機能を自前で実装することが容易ではないケースが想定されます。このような場合、セキュリティ機能に特化したSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)をIoTデバイスに実装するという選択肢が考えられます。必要なセキュリティ機能をSDKとしてデバイスに組み込むことにより、IoTデバイスに最適化された適切なセキュリティ機能をよりスムーズに実装することが可能になります。
トレンドマイクロでは、IoTデバイスへのハッキングや不正侵入等の脅威への対策として、特に初期化段階と運用段階における対策を重点的にカバーしたIoTデバイス向けの「Trend Micro IoT Security」を提供しています。
図4 トレンドマイクロが提供するIoTデバイス向けセキュリティSDKの提供機能(クリックで拡大)
IoTの世界では「モノ」がインターネットにつながることにより新たな価値を生みだす一方、その裏側でインターネットにつながることによる新たな「脅威」の出現にも目を背けることはできません。バックエンドのシステムやネットワークとの連携を含むデバイスライフサイクル全般を考慮したセキュリティの実装が、IoTデバイス設計時の重要なポイントです。
(連載完)
森本 純 (もりもと じゅん)/トレンドマイクロ株式会社 コアテク・スレットマーケティンググループ シニアスペシャリスト
IoTセキュリティの情報サイト「IoT Security Headlines」 の企画・運営をはじめ、10年以上のセキュリティエンジニアの実務経験を基に、国内外の脅威、IT技術動向を踏まえたさまざまな立場の人へのセキュリティ啓発を担当。
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