VRやクラウド、3Dプリンタ、やっぱり新技術に興味津々! そして“あの方”による記事がメカ設計 年間ランキング2016(2/3 ページ)

» 2016年12月28日 14時00分 公開
[小林由美MONOist]

記事ランキング・ベスト10、はじまりはじまり

 ご存じの通り、当フォーラムは、設計現場で実際に働くエンジニアさんや、設計現場の経験があるコンサルタントさんを中心に解説記事を寄稿していただいています。今回のベスト10も、案の定、そんな記事が中心でした。

 第10位にランクインしたのが、小型モーターメーカーのエンジニアで博士(工学)でもある伊藤孝宏さんによる記事です。3DプリンタやCAEで用いるSTLはポリゴンデータなので、ソリッドデータである3D CADの3Dデータはそのまま使えません。高価なトランスレータを使わなくても、無償3D CADである「FreeCAD」で簡単に変換する方法について解説しました。

 他の、2016年より前に公開したFreeCAD関連の記事も大変人気で、そのいくつかがいつも上位にランクインしています。

 次いで第9位には「製造業VR開発最前線」の後編。「製造業VRエヴァンジェリスト」を名乗る、プロノハーツの早稲田治慶さんによる記事です。3D CADデータを利用したVRシステムは数年前からありますが、数千万円以上する高級システムでした。それを中小企業でも手が届くような価格帯で届けられるよう、開発に奮闘する一人が早稲田さんです。そんな、まさに開発の最前線にいる方が、製造業のVRの現状や課題について詳しく解説しました。

 前編「「VR=仮想現実感」は誤訳!? VRの定義、「製造業VR」の現状と課題」をお読みでない方は、ぜひそちらからどうぞ。

 第8位は、2016年6月に開催されたMSCソフトウェア主催の「MSC Software 2016 Users Conference」より、日本自動車工業会 電子情報委員会 デジタルエンジニアリング部会 CAEクラウド調査タスクの講演を紹介した記事です。登壇したのは同会の代表である本田技研工業 IT本部 システム基盤部 インフラ推進ブロック チーフの多田歩美さん。

 クラウドCAEについては「一般業務に使われるビジネス系クラウドはかなり広まっており、利用して当たり前といった状況になりつつある。だがCAEクラウドはなかなか利用しやすくはなっていない」と、ズバッ! 引っ掛かってくるのは、フレキシブルさと、やはり……コストだということです。

 CAEのライセンス費用、企業さんで結構悩ましい問題だと聞いています。ソフトウェアのクラウド化の1つのメリットしてコストダウンがあるかと思いますが、今後、企業さんにもっと優しい感じの価格のライセンスが登場してくるといいですね。

 第7位には、2016年1月に開催された「オートモーティブワールド2016」より、機能商社の豊通マシナリーによる「デジタルABS樹脂」を用いた、樹脂型による金属プレス加工技術「デジタルモールド・プレス」の技術を紹介した記事です。

 「デジタルモールド」は、既にご存じの方が多いと思いますが、少数精鋭の設計会社 スワニーが開発した技術です。3Dプリンタで樹脂製の型を作って、それを射出成形やプレス加工に使っちゃえ! ということで、試作期間を大幅に短縮できるという優れモノです。

 豊通マシナリーの展示は、そのプレス加工の例ですね。実際にデジタルモールド・プレスの技術を担っているのは、プレスメーカーの中辻金型工業です。

 第6位は、「寸法を実感する! 測定講座」より、公差設計のコンサルで知られるプラーナーの木下悟志さんによる解説。木下さんは、セイコーエプソンに34年間勤務していた元エンジニアさんです。定年後にコンサルタントに転身したのだそうですよ! 幾何公差を理解するには、実際に寸法を測ってみるのが一番だよ〜ということで生まれたこの連載ですが、この回では幾何公差と寸法公差の公差域の違いを押さえた上で、測定方法について説明しています。

 幾何公差は読者さんに非常に注目されているテーマです。パズルを解くような複雑な部分もあるので、「自信がない」という方も多いのではないでしょうか。今後のMONOistでも幾何公差関連の記事を積極的に企画していきます。

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