「2016 TRON Symposium−TRONSHOW−」の展示会場に特設された「IoT-Engineパビリオン」では、実際に動作する「IoT-Engine」を使ったデモンストレーションが披露された。
2015年12月の「2015 TRON Symposium(TRONSHOW)」で構想が発表された「IoT-Engine」。TRONプロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」の実現のために策定された、IoT(モノのインターネット)のためのオープンな標準プラットフォーム環境だ。
IoT-Engineにおけるエッジノードとなる小型モジュールは、外部接続インタフェースとなるコネクターの形状、設置位置や、リアルタイムOS「μT-kernel 2.0」をマイコンに組み込んで制御することなどが標準規格化されている。同モジュールは、6LoWPANなどのIEEE 802.15.4に基づく無線機能によってクラウドとつながり、エッジノード同士をクラウドでつなげるアグリゲートコンピューティングを実現する構成要素となる。
構想発表から4カ月後の2016年4月には、IoT-Engineの開発に半導体メーカー7社が参画することを表明。そして「2016 TRON Symposium−TRONSHOW−」(2016年12月14〜16日、東京ミッドタウン)の展示会場に特設された「IoT-Engineパビリオン」では、実際に動作するIoT-Engineを使ったデモンストレーションが披露された。
IoT-Engineパビリオンに出展したのは、東芝マイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、Nuvoton Technology(ヌヴォトン)、明光電子の5社。
IoT-Engineの開発キットは2016年9月からユーシーテクノロジが販売している。この開発キットに搭載されているマイコンは、東芝マイクロエレクトロニクスの「TX03シリーズ M367」とルネサスの「RX231」の2種類になる。まずはこれら2社のデモを紹介しよう。
東芝マイクロエレクトロニクスは、IoT-Engineに接続したモーターをクラウドで遠隔操作するとともに情報を集積するデモを披露した。
TX03シリーズなどの同社のマイコンは、個々のモーターを最適に制御できる機能「PTS(Parameter Tuning System)」を搭載している。従来は、IoTではないスタンドアロンのモーターを最適に制御できるだけだった。しかし、IoT-Engineによってクラウドと連携できれば、個々のモーターのパラメータをクラウドで総合的に管理、分析し、遠隔操作できるようになる。同社はこの仕組みを「BMS(Bridge Motor Solution)」と呼んでいる。
展示では、従来のスタンドアロンのモーター制御と同様に、IoT-Engineに接続した3個のモーターについて、タブレット端末から遠隔操作すると同時に、そのパラメータも取得できることを示した。
なお、東芝マイクロエレクトロニクスでは、「Cortex-M3」を搭載するTX03シリーズよりも高機能な、「Cortex-M4」を搭載する「TX04シリーズ」のIoT-Engineも用意している。
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