トヨタNEXTの選考メンバーを務める、トヨタ自動車 常務役員の村上氏は、「われわれトヨタは創業以来の変革期を迎えている。この先の将来、今までのように成功できるかは分からない。しかし、今チャレンジしなければ、明るい未来を描くことはできない。インターネットやスマートフォンの普及によって、お客さまの求めるものも激変している。その変化に真正面から向き合い、勇気を持ってチャレンジしたい」と、オープンイノベーションに向けた意気込みを語る。
トヨタNEXTに取り組む背景にあるのは、同社の国内販売プロジェクト「J-ReBORN計画」だ。同計画では、国内の年間生産300万台の半数に当たる150万台の国内年間販売の確保を目標としている。「トヨタはグローバル企業だが、競争力の源泉は母国の日本にある。国内のモノづくりを将来にわたって発展させるのに、この生産台数と、それを支える国内販売台数は必要だ」(村上氏)という。
J-ReBORN計画では、年間150万台の国内販売の確保に向けて、インターネット関連サービスの顧客IDを1本化する「One ID TOYOTA」と、2016年11月に発表した「コネクテッド戦略」という2つの施策が中核になっている。ただし、「トヨタのクルマに乗りたい」「トヨタのクルマが欲しい」と顧客に思わせるにはサービスの充実が不可欠だ。村上氏は「トヨタではサービス開発も自前主義だった。しかしこれからは、ヒト中心の新しいモビリティサービスが必要だ。トヨタNEXTでは、参画するパートナーとWIN-WINの関係で、オープンイノベーションによる新サービス開発を進めていきたい。これからの社会変化への対応力という観点で、トヨタは平均以下だと認識している。そういったものをパートナーから学ばせてもらいたい」と強調する。
トヨタNEXTは、国内販売に関するプロジェクトであるJ-ReBORN計画に基づくため、基本的には国内向けのオープンイノベーションプログラムとなっている。「提出する資料関係やプレゼンテーションなどは日本語を使用すること」という応募条件は、この事実を端的に示している。
村上氏は、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏の「ただ自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で日本の自動車工業をつくらねばならない」という言葉を引用し、「オールジャパンの総力で日本から発信していきたい。日本が直面している構造的な問題は、必ずしも日本だけの問題ではない。(トヨタ自動車の)マザーカントリーである日本で、これらの問題に対してチャレンジした上で、世界中のユーザーに使ってもらえるようなサービスを開発し、海外展開も検討したい」と述べている。
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