ドイツだけではない、フランスや中国でも進む製造業のデジタル化製造業IoT(1/2 ページ)

2年に1度の「国際ロボット展」が開催されない年に企画されたロボット関連の展示会として「Japan Robot Week2016」が新たに開催。同展示会のシンポジウムとしてロボット革命イニシアティブ協議会が主催する「ロボット革命国際フォーラム」が実施された。本稿では同シンポジウムの内容をお伝えする。

» 2016年10月25日 13時00分 公開
[長町基MONOist]

 2016年10月19〜21日に東京都の東京ビッグサイトで開催された「Japan Robot Week2016」は、日本政府が示す「ロボット新戦略」を受け、2年に1度開催される「国際ロボット展」の間の年に、新たに設立されたロボット技術の展示会である。同展示会ではシンポジウムとして、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が主催し「ロボット革命国際フォーラム」が実施された。「産業のデジタル化推進における展望と課題」をテーマとした同シンポジウムの内容を紹介する。

新たな付加価値を生み出す第4次産業革命

photo RRI会長の岡村正氏

 冒頭、あいさつに立ったRRI会長の岡村正氏は「2015年5月に発足したRRIは226の会員数で開始したが、現在は440にまで会員数が増えた。『ロボット新戦略』では、デジタル化およびネットワーク化を進めつつ、高度なセンサー技術や人工知能を駆使して、作業を行う『新たなロボット』が定義付けられている。その中で『IoTによる製造ビジネスの変革』を重要なテーマの1つとしワーキンググループ(WG)による活動を行っている。国際標準化に向けた取り組みも進めており※)、そのための体制作りにも取り組んでいる」とRRIの活動内容を報告した。

※)関連記事:インダストリー4.0を巡る国際標準化の動きはどうなっているのか

 続いて、来賓あいさつとして経済産業省製造産業局長の糟谷敏秀氏が登壇した。「第4次産業革命への円滑な対応を促すことは、日本の成長戦略の中心となる政策だ。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、人工知能などの技術を駆使し、新たな付加価値を見つけることで、潜在成長力の引き上げを進めていく。政府としてもさまざまな支援策を実施するとともに、諸外国との連携も進めている」と糟谷氏は政府の方針を述べた。

WG活動が中心となるインダストリー4.0

 講演では、「デジタル化推進の国際的展望」と題して、シーメンス専務執行役員の島田太郎氏がドイツで取り組まれているインダストリー4.0について、その誕生の背景や成果などを紹介した。島田氏によると「デジタル化が進む中で新聞がオンラインメディアになったりスマートフォンが登場したりするなどしているが、こうしたことが製造業の世界でもできるだろうということが、インダストリー4.0の出発点だ」という。

 そのバックグラウンドにはコンピュータの機能拡大、インターネットなどコミュニケーションテクノロジーの進化、シミュレーションテクノロジーの進歩などがある。ドイツでは政府や企業が「プラットフォーム インダストリー4.0」として連携して活動基盤を作り、インダストリー4.0の実現に向けて取り組んできた。そのテクノロジー側のコミュニティーにワーキンググループ(WG)が設定されている。現在このインダストリー4.0プラットフォームを形作っているのは主にWGでの活動だという。

 WGには標準化(スタンダード)、リサーチ&イノベーション、セキュリティ、リーガルフレームワーク、教育・トレーニングなどがある。このうちリサーチ&イノベーションでは「インダストリー4.0の進展に伴う新技術の開発や問題点の解決やどの分野に新たなテクノロジーを持ち込めばイノベーションが起こせるか、リサーチを行う」(島田氏)という活動を行っている。なお、ドイツでは「プラットフォーム インダストリー4.0」の活動において「効果のあるものに取り組む(カスタマーベネフィットファースト)」「コアコンピテンスを考える」「ユースケースごとに考える」の3つのガイドラインを設けて、活動の効果が生まれやすいようにしている。講演ではこの他、追加で定義された「ラボラトリーネットワーク インダストリー4.0」なども紹介した。

photo プラットフォーム インダストリー4.0のWG活動(クリックで拡大)出典:シーメンス
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