ホンダは、「CEATEC JAPAN 2016」において、鳩サブレーの豊島屋や、プロダクトデザインを手掛けるカブクと共同製作した超小型EV(電気自動車)「マイクロコミューター豊島屋モデル」を出展した。こうしたオーダーメードのデザインに対応することにより、超小型モビリティの市場拡大を図る。
ホンダは、「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、幕張メッセ)において、鳩サブレーの豊島屋や、プロダクトデザインを手掛けるカブクと共同製作した超小型EV(電気自動車)「マイクロコミューター豊島屋モデル」を出展した。ホンダの超小型EV「MC-β」をベース車両とし、和菓子を配送する豊島屋の業務に合わせた荷室をカブクが設計。ボディはカブクが3Dプリンタで製作した。
超小型EVは、車両区分が特殊でナンバー取得の申請が難しいことや、コスト面で軽自動車と食い合うことから、自動車メーカーが思うように普及が進んでいない。3Dプリンタを活用し、外部企業とも連携しながらさまざまなユーザー向けにオーダーメードで超小型EVをつくることにより、普及につなげようとしている。
MC-βは近距離移動向けのEVとして2012年11月にホンダが発表した。2013年11月から2016年3月まで、国土交通省の超小型モビリティ制度を活用して、熊本県や埼玉県さいたま市、沖縄県宮古島市で実証実験を行った。観光客向けのレンタカーや、地元住民向けのカーシェアリング、自治体の公用車としてMC-βを使った実績がある。
MC-βは外形寸法が全長2495×全幅1280×全高1545mm、最高速度は時速70kmでモーターの出力は定格6kW/最大11kWとなっている。リチウムイオン電池を搭載し、走行距離は80km程度。充電時間は3時間未満としている。超小型モビリティや欧州のL7カテゴリーの車両区分に対応している。
座席は前後に並んでおり、大人2人、もしくは大人1人と後部座席に子どもを2人乗せることができる。ボディーや内装はユーザーの要望や用途に合わせて作り変えることを前提に、バッテリーやモーターなどパワートレインは床下とリアスペースに集約したプラットフォームだ。
MC-βは2012年の発表当初から、ユーザーの要望に応えた上屋を作るためのプラットフォーム「Variable Design Platform」を提案してきたが、コンセプト通りの作り変えは実現していなかった。ホンダ単独では少量多品種生産を実現するのが難しかったためだ。また、「超小型EVの市場が自動車メーカーの期待ほどには拡大していない」(ホンダの説明員)ことも影響した。
今回出展したマイクロコミューター豊島屋モデルが、Variable Design Platformの本来の狙いを初めて実現したモデルとなる。
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