新型フリードとフリード+のハイブリッドモデルには、排気量1.5l(リットル)のi-VTECエンジンと1モーターを内蔵した7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせた「SPORTS HYBRID i-DCD」を採用した。多人数で乗車するミニバン向けにローレシオ化し、より力強い加速性能としている。
今回、インテリジェントパワーユニット(IPU)を小型化して3列目のシート下から1列目シート下に移動させた。さらに、排気方法や吸気ダクトのカバー設計の見直しも実施している。これにより、3列目シートの居住性が改善するとともに、フリード+には車いすで車両後部に乗り入れ可能な福祉車両も設定できた。IPUの小型化は、内部の機能部品の統合を進めることによって実現したという。
また、「5ナンバーミニバンでは初」(ホンダ)となる4WDのハイブリッドモデルも設定した。従来のように3列目のシート下にIPUを置くレイアウトでは、ドライブシャフトとデファレンシャルギアを配置することが難しく、4WDの機構とハイブリッドシステムは共存できなかった。
IPUを1列目のシート下に移動したことに加えて、ドライブシャフトを通せるコの字型の形状としたことで、4WDのハイブリッドモデルを5ナンバーミニバンとしては初めて設定できた。競合モデルとなるシエンタのハイブリッドモデルはFF車のみとなっている。
IPUは4WDモデルとFFモデルで個別の設計となっている。また、4WD用IPUを他車種に展開する予定はなく、実質的にフリード/フリード+専用となる。IPUを駆動方式に合わせて別設計としたのは、「FF用IPUのメリットを消さないため」(ホンダの説明員)だという。
4WD用のIPUはコの字型とするために内部の部品のレイアウトを変えており、FF用よりも高さがある。そのため「小型化して厚みを減らした今回のIPUで低床化できるのに、コの字型で厚みのあるIPUを4WDだけでなくFFにも共通して採用すると、ハイブリッドモデル全体の地上高が上がってしまう。そのため、あえて別設計とすることにより、FFモデルの低床化の強みを殺さないようにした」(同社の説明員)。
5ナンバーミニバンのハイブリッドモデルに4WDを設定できるのは、商品力を高める上で重要だという。「商品企画の一環で、山形県のお客さまに話を聞いた。日常的にクルマを使用するので燃費の良いハイブリッド車がほしいがFFしかないため、やむなく諦めているお客さまが多かった。5ナンバーミニバン市場は4WDハイブリッドモデルの要望が強いので、専用設計となってでも設定する必要があった」(同社の説明員)。
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