工場内ネットワークを守る運用手法とトラブル対処法工場用イーサネット入門(6)(1/3 ページ)

インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。最終回となる今回はネットワークを守る運用手法やトラブル対処の方法を紹介します。

» 2016年08月31日 09時00分 公開

第5回:「工場を止めないネットワークの基本機能と、ハブとスイッチの違い

 2016年2月から掲載してきた本連載「工場用イーサネット入門」も今回で最終回を迎えます。全ての設備は設計・導入だけでは終わりません。また、MONOistの中の多くの記事が言及している通り、従来以上にさまざまなものがつながっていく環境では「ネットワークそのもの」の重要性も増していきます。

 そこで、今回は、この重要なネットワークを守るために、賢いスイッチが運用に役立つ点や、現場でのトラブル対処の方法などを紹介します。

ネットワークの監視がなぜ必要か

 本連載を始めた2月から現在までの間にも、第1回の「なぜ工場でネットワークを考えないといけないのか」で紹介した「CASE STUDY」で描いたような話を幾度となく聞きました。

 工場を操業し続けていれば、ネットワークにおいても「機器の故障」や「配線の接続間違い」をゼロにすることは難しいのが現実です。ちょっとした配線の間違いで、ネットワークの「ループ」という現象が今日もどこかの工場で発生しているかもしれません。「多くの生産設備がある中のたった一か所のネットワークトラブルで、工場全体で障害切り分けをはじめる必要が出てくる。そんな事態はもう避けたい!」こんな思いをされた方も多いのではないでしょうか。

 「ネットワークトラブルを未然に防ぐ」「トラブル発生時に原因を特定し、迅速な対応する」ということを実現するには「ネットワークを常時監視する」ことが運用において基盤となるとわれわれは考えています。なぜなら、監視をしないと「いつ、どの機器が壊れたか」が正確に把握できないためです。

 文字にすると当たり前のことのように思われる方もいるかもしれません。では、生産設備のネットワーク機器を監視しているという工場がどの程度あるでしょうか。残念ながら、私たちがこの1年間でお伺いした工場で、自信を持って「監視している」と答えられた方は少数でした。だからこそ、この回を通じて、監視の重要性をご理解頂きたいと考えています。

 この「ネットワーク監視」には「賢いスイッチ」が役立つとされています。ネットワークにおける「スイッチ」については、第4回「工場を止めないネットワークの基本機能と、ハブとスイッチの違い」で紹介しましたが、ネットワーク監視における「賢いスイッチ」の役割とはどういうものなのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

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