enmono プロダクトとしてデザインとテクノロジーが組み合わさっていて、さらにそこへ今村さんのコンセプトもきちんと乗っているなと感じます。これ、当初はイヤフォンタイプでしたよね。
今村 はい。これが最初の草案で。
enmono VIEになる前ですね。
今村 はい。VIEになる前はLIVEという名前で、こんな感じでした。
enmono 箱が2つありますね。
今村 最初やっぱりちっちゃくやりたかったのでイヤフォンにしてみて……ただ、イヤフォンには無線の一斉送信モジュールというのは入らなくて、この箱に無線のモジュールが入っています。このデザインのすごいところは、普通こうすると(箱を)ちっちゃくしたくなるじゃないですか。
enmono はい。
今村 もっとちっちゃくできるんですよ。西村さんはあえて大きくしてるんです。なんでかっていうと、手で握って踊るでしょうと。だから持ちやすい形にしたんです。
enmono ああ、なるほど。
今村 この人天才だなと思って。
西村 このタイプのヤツは3カ月半くらいやってましたね。
enmono どんどん進化していくんですね。
西村 その代わりちょっと壁にぶち当たっちゃったんですね。
enmono 技術的な?
今村 これ、レシーバーとトランシーバーみたいに別れてるんです。
enmono 金型2つ起こさなきゃいけない。
今村 それにかっこよくないし、めんどくさい。
西村 いろいろあったんですよね。イヤフォンを光らせるっていうのがすごい難しくて。
今村 本当はケーブルを光る感じでカッコよくしたかったんですよね。
西村 なんでこれをこだわってやろうとしてたかというと、もともとのコンセプトを1日ここでカンヅメして話していたんですけど、結局さっきの「モノをもってコトをなす」っていうのにつながっていて、音楽機器を作りたいんじゃなくて音楽体験を作りたいっていうところに行き着いたんですね。
西村 ライブハウスとかで音楽を皆で楽しみながら、おしゃべりしたりして、その空気自体を作り出したいっていうのが本質的な目的としてありますねと。その時に音が出せない空間で、サイレントでみんなで音楽をシェアできる機器を作りたい。
西村 重要なのが音が1個で共有できているということと、もう1個がクラブみたいに光を出すこと。これがあれば光と音でちっちゃい空間だったら支配できてしまうだろうと。それで音と光両方シェアできるっていうのにこだわって進めていたんです。
今村 無線で30メートル圏内だったら何台でも同じ音楽が聴けますというモジュールが入っていて、このヘッドフォンとこのヘッドフォン、今つなげればつながります。100台でも全然問題なくて、そういう意味でシェアって入ってるんですね。音楽でシェアしながら話もできる。
enmono 大きな音が出せないようなところで、これをみんなでつけてディスコのような、クラブのような場を作れると。
今村 まぁ都心の中では本当に音楽のライブをやろうとしたりすると、必ず出てくるのが騒音問題。音楽やると大体怒られるわけです。そういう経験をたくさんしてきて、それが音楽文化にとってすごくマイナスというか。人口が密集すればするほど音楽に対して許容度が減っていくんです。
今村 音っていうのは物理で飛ぶので、遮音っていうのは物理的にやるしかない。そこが限界になっている。ただ、音楽っていうのは古くからある芸術で、人がサルからヒトになるくらいからあるものなんですけど、それが減っていってしまうのはよくない。そういうことを変えるためにこれを作りました。
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