OICを前身とするOCF(Open Connectivity Foundation)とThread Groupの提携が発表された。OCFとっては大きな追い風だが、各団体の顔ぶれをよく見ると各社の思惑に変化が起きていることも伺える。
今回はフィールドバス系に話を戻そうと思っていたのだが、ちょっと大きなニュースが入ってきたので、こちらをご紹介したいと思う。
2016年8月1日、OCF(Open Connectivity Foundation)とThread Groupが提携することを発表した。提携に先だって両者は協力関係の強化も発表しており、OCFには大きな追い風が吹き始めている。ちょっとこのあたりをもう少し細かく説明したい。
まずOCFについて。先のニュースでも触れているが、2016年2月にOCFという新しい業界団体が設立された。母体になったのはOIC(Open Interconnect Consortium)であるが、メンバー企業にはちょっと入れ替わりがある。
Board of Directorsに名前を連ねるのはArris、CableLabs、Cisco Systems、Electrolux、GE Digital、Intel、Microsoft、Qualcomm、Samsung Electronicsの9社で、これがそのままDiamond Memberとなっている。その下のPlatium MemberとしてAtmel、AwoX、Comcast、Dell、Honeywell、IBM、MediaTek、neustar、Somfy、TPVision、ZTEの12社が加盟しており、Gold Memberは159社、Non profitとAcademicには13組織/大学、Basic Memberが17社といった感じだ。
OICではBoardを勤めていたMediatekはGoldに降りており、代わりにArrisやCablecom、Ciscoといったテレコミュニケーション企業や家電メーカーのElectrux、IIC(Industrial Internet Consortium)をリードする立場であるGE Digital(同社は2015年9月に、GEの全デジタル関連部門を集約した部門である)、そして今更説明は不要であろうMicrosoftとQualcommがBoardとして入っているのが非常に象徴的である(IoT観測所(5):産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い)。
新設されたOCFの目標は?というと、FAQには「OCF is taking the lead in establishing a single solution covering interoperability across multiple vertical markets and use cases.」とある。
実はこの文言、OICのそれと全く一緒である。実際のところ、これまでOICが提供してきたロードマップはそのまま継承されるし、OICのオープンソース実装プロジェクトである「IoTivity」は、引き続きOCFのプロジェクトになるだけであって、何も目新しくない(IoT観測所(9):オープンソースの力を借りた「IoTivity」、その意図を探る)。
では何のために衣替えをしたのか、に関してOCF自身は明確には語っていないが、要するにAllSeen Allianceと協力関係(というか、長期的には両者が融合しかねない状況ですらある)を築くためには、OICのままでは都合の悪い事があったと思われる。それは恐らく技術的な問題ではなく、多分に政治的な問題であったのだろう。これを解決するために組織の変更やBoard Memberの入れ替えも必要になった、ということだろうか。MediaTekがPlatium Memberに降りたあたりがそのヒントになるのかもしれない。
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