衛生陶器の製造現場をIoTで革新するシステム : 製造IT導入事例
富士通は、TOTOベトナムの工場で衛生陶器の生産効率を向上させるシステムを開発した。全工程の生産状況や品質情報を可視化し、タブレットに検査結果や不具合を登録。それらのデータを活用することで製造プロセス改善に役立てる。
富士通は2016年7月20日、富士通システムズ・イーストと共に、TOTOのベトナム拠点TOTOベトナムの工場で生産する衛生陶器の生産効率を向上させるため、原材料の調合から検査まで、全工程の生産状況や品質情報を可視化するシステムを開発したと発表した。
同システムは、仕掛品や各種設備に貼られたICタグやバーコードを通じて、原材料の調合から検査に至るまでの全工程の品質や進捗情報、原料調合時の温湿度や釉薬の種類など、さまざまな情報を収集し、個々の製品トレーサビリティをリアルタイムで把握可能にするもの。製品出荷後も製造時の情報が把握できるため、問い合わせにも迅速に対応することができる。
衛生陶器は、ミリ単位でのゆがみや傷も許容されないよう綿密に設計されており、多面的に細部に渡り厳しい検査が行われている。この検査結果を詳細に記録できるように、水洗便器の前後左右上下の6方向の図面をダブレットに表示させて、不具合の位置や状態を速やかに登録、確認できるようにした。これらのデータを蓄積し活用することで、不具合が発生しやすい部位や原因が客観的に把握でき、製造プロセスの改善につなげることができる。
TOTOベトナムでは、本システム導入により、熟練工の作業手順や検査結果、指摘内容などこれまで共有されていなかった情報の共有が可能になり、作業者同士の意見交換やコミュニケーションが活発になっているという。
製造工程におけるトレーサビリティイメージ
タブレットで検査情報を入力する様子
IoTが製造業のサービス化を呼ぶ?
モノ売りからコト売りへ――。IoT(モノのインターネット)の進展により、一昔前に製造業の周辺で言われてきたサービスビジネス拡大の動きが本格的に広がりを見せ始めています。しかし、「モノ」を主軸としていた製造業が「コト(サービス)」を中心としたビジネスモデルに切り替えるのは容易なことではありません。そこで本稿ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説していきます。
製造業に襲い掛かる第3次IT革命の波
経済学者マイケル・ポーター氏と米国PTCの社長兼CEOであるジェームズ・ヘプルマン氏の共著でるIoTに関する論文「IoT時代の競争戦略」が公開された。PTCジャパンでは、同論文の内容を解説する説明会を開催した。
製造業向けIoT活用入門
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に注目が集まる一方で、製造業がIoTを活用するための道筋は見えづらい状態にある。本稿では、幾つかの代表的なIoTの活用シーンを紹介するとともに、自動車向けテレマティクス(カーテレマティクス)を具体的な事例として、製造業がIoTから得られるメリットについて解説する。
「M2M」「IoT」「クラウド」――“つながる技術”が切り開く組み込みの未来
2013年11月20〜22日の3日間、パシフィコ横浜において恒例の組み込み関連イベント「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」が開催された。本稿では、多数のブースの中から“これからの組み込み技術”という視点でピックアップした展示デモの内容を紹介する。
IoTのビジネスチャンスをどう見つけるか?
IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。4回目となる今回はサービスビジネスにおけるマーケティング戦略について解説してきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.