自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回は、高度成長期に創業した典型的な“町の工務店”を継いだ2代目社長の奮闘を紹介する。売り上げアップの秘訣は、新卒社員採用の継続にあった。
東大阪にある吉武工務店は、今年(2016年)で創立52年を迎える。従業員11人のいわゆる「町の工務店」だ。腕のいい棟梁がおり、営業、設計、施工から建築まで、トータルで請け負っている。
特筆すべきは、7人の従業員のうち4人が新卒採用という点だ。
今、大学生の就活が非常に難しいといわれている。就職先を求める学生の苦労がよく話題になるが、中小企業にとっても厳しい状況だ。学生たちがエントリーシートを提出するのは、大手企業に集中しているからだ。
知名度のある製品を作っている会社、CMなどで名前が知られている企業でなければ、学生からのエントリーシートは集まらない。
書類選考の段階で企業から弾かれてしまい苦しい思いをしている学生と、いいモノづくりをしているにも関わらず、学生たちの目に留まらずにいる中小製造業。両者のマッチングができれば、就活における幾つかの問題点は解決するだろう。
吉武工務店社長の吉田丈彦氏は、自社の強みを作ることで「この会社に就職したい!」「ここで働きたい」と新卒の学生に選ばれる工務店となった。
そして、若い人材が入ってきたおかげで「会社のムードが大きく変わった」と吉田社長はうれしそうに語る。どこの町にもある(ように見える)工務店がチャレンジしてきた軌跡を取材した。
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