現在、量産中のPASEは第4世代にあたる。PASEは2018年を目標に第5世代に移行する。第5世代でも、従来のようにRF/LF信号の通信に対応したスマートキーを持ち歩く必要があるが、機能が発展する。例えば、ドライバーが身に付けた鍵が車両に一定距離まで接近したのを認識するとウェルカムライトを点灯させ、駐車場で自分の車両を見つけやすくする。
さらに、ウェルカムライトの点灯範囲よりも接近すると解錠し、シートやサイドミラーの位置、エアコンの設定などをドライバーに合わせて調整し、乗車する瞬間には全て準備が整った状態にしておく。車両の後方に近づいた場合は自動でトランクを開けるなど、ドアの制御も行う。
この時、ドライバーが身に付けた鍵がどのように接近するかによって解錠の可否を判断する。ただ車両の側を通り過ぎた場合や、車両に近づくと見せかけて離れて行った場合は施錠したままで、ドアの前で止まった場合にのみ解錠する。
ドライバーがクルマを降りた後は、鍵が車両から離れていくと自動で施錠する。
コンチネンタルはこれらを従来のスマートキーの延長である“クラシックアクセス”と位置付けている。
今後は、クルマとスマートデバイスの通信の仲立ちとしてスマートキーを扱う“トレンドアクセス”や、スマートデバイスがBluetoothやNFC(近距離無線通信)によって直接クルマと通信する“スマートアクセス”で、クルマの鍵の多様化を図る。
“トレンドアクセス”では、ドライバーはスマートフォンやスマートウォッチの画面から解錠/施錠を操作したり、燃料の残量やタイヤの空気圧を確認したりすることが可能になる。
ドライバーがクルマの鍵として触れるのはスマートフォンやスマートウォッチになるが、ゲートウェイとして従来のようにクルマ専用の鍵がなんらかの形で残る。つまり、自動車メーカーは車両にとって既知で信頼性が担保された技術であるRF/LF信号の通信を用いながら、クルマの鍵のバリエーションを増やすことができる。
スマートデバイス以外の多様な鍵の形として、会見ではカードキーやブレスレット型の鍵を紹介した。
「カードキーで言えば、ICカードをスマートフォンのケースに入れて交通機関の改札を通るのと似たイメージだ。カードはバッテリーを必要としない。ブレスレット型にすればレジャーなどで荷物から鍵を取り出す煩わしさがなくなる。とても小さなサイズのチップで実現可能なので、ブレスレットのデザインは問わないし、防水加工もできる」(コンチネンタルの技術者)。
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