今回は、CADとCAM、CAEの関連性やデータ活用について説明します。
本記事は、CADを快適な環境で使ってもらうソリューション専門街「CADJapan.com」から転載しています。
「キャド」と呼ばれ、コンピュータ上で設計図面を作成したり3Dモデルの作成をするソフトのことです。
「キャム」と呼ばれ、3Dモデルに対し使用工具を検討し加工プログラムを作成するソフトです。
「シーエーイー」と呼ばれ、FEM(有限要素法)などの数値解析手法を用いて強度や衝撃、機構などをシミュレートするソフトです。
製造関連の流れにより設計から解析、そして加工となるので3つのソフトは同一モデルを扱っています。しかし設計モデルをそのまま解析するとしても、評価する必要のない箇所や部品などの影響により解析の時間がかかったり、計算出来なかったりします。そのため評価したい部分のみを取り出したり、解析用モデルに編集する必要性も出てきます。また設計者は、製品に対してどのように加工するかも考慮して作成する必要があります。
解析用や加工用にモデル化するといっても、どのように考えればいいのでしょうか。
鋳造により製品を製造する場合、成型後型から製品を取り外します。その際に型と製品が垂直な場合、型からスムーズに抜けなくなってしまいます。そのため抜き勾配(角度)を付けてスムーズに取り外せるようにすると共に、摩耗やバリの発生を抑制することができるようになります。
CAEでは3Dモデルにメッシュを作成し計算します。そのメッシュの要素、節点の数によって計算時間が変わってきます(もちろん接触計算など解析の種類によっても異なります)。
例えば、フルモデルで解析を行うとメッシュの数が多くなり、PCに負荷がかかったり、計算時間が長くなったりします。その形状が対称モデルであれば、2分の1もしくは4分の1の形状で解析することにより、計算時間を大きく減らすことが可能となります。
CAMのプログラムを作成する際に、工具について幾つか考慮する必要があります。
傾斜(勾配)の部分にはフラット(R付き)エンドミルよりもボールエンドミルの方がきれいに仕上がると同時に、工具の摩耗を抑えられます。また底にRが付いている場合、R1だとするとφ10-1Rではきれいに仕上がりません。それ以下のφ10-0.5Rやφ10-0.3Rと仕上げるRよりも小さいRを使用することにより、狙った寸法を出すことが可能となります。底が角の場合ですと、Rなしのフラットエンドミルで仕上げる形になります。
凸(とつ)モデルの場合には工具の波長を考える必要があります。工具径により出せる波長(仕上げられる波長)がある程度決まっていて、その限界を超えますとビビリが発生し、折れたり、きれいに仕上がらずに荒い加工面となったりしてしまいます。ですので同じサイズの工具を使用するにしても、浅い部分と深い部分にて工具を分ける必要が出てきます。
工具数の無駄をなくし少ない加工工程、加工時間でのプログラムを作成することが、コスト低減とともに加工者の無駄をなくすことになります。
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