生産を「アジャイル」に、ダッソーとアクセンチュアが設計・製造の統合化を実証ハノーバーメッセ2016

ダッソー・システムズとアクセンチュアは、ハノーバーメッセ2016においてデジタル技術で設計データや生産データを統合し、状況の変化に俊敏に対応する「アジャイル生産」に向けて機能検証(PoC)に取り組むことを発表した。

» 2016年04月28日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 ダッソー・システムズとアクセンチュアは、ハノーバーメッセ2016(2016年4月25〜29日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、状況の変化へ俊敏に対応する「アジャイル生産」に向けた機能検証(PoC)に取り組むことを発表した。

 「アジャイル」とは、「素早い」や「俊敏な」という意味で、従来はITシステムの開発などでよく使われていた言葉である。アジャイル開発は全体のリードタイムを下げるために開発された手法で、ソフトウェアの設計全てが終わってから実装しテストするのではなく、小規模の機能単位で、設計・実装・テストを行うことで手戻りを少なくし、開発期間の最小化を目指すというものである。

 ダッソー・システムズとアクセンチュアの取り組みはこのソフトウェア業界で行われている「アジャイル開発」を、大規模で手戻りが多い産業機械メーカーの製造現場に持ち込もうというものだ。両者は、大規模な産業機械メーカーで非反復生産を行う企業を対象に、エンジニアリング・チームと製造現場をデジタル・テクノロジーでつなぐ3段階の構成によるソリューションを構築し、その実装に取り組む。具体的には電車や航空機、掘削機など、大規模でそれぞれがカスタム化されている製品の製造である。

 「アジャイル・マニュファチャリング」の第1段階では、大型の製品の組み立て順序を理論的に策定。第2段階では、現場の各作業員に向けた個々の業務計画やスケジュールの策定、最適化、再策定を支援。第3段階では各作業員のスケジュールをデジタル表示し、各自が現場でスケジュールを参照できるようにする。これら各段階の策定や実行に、ダッソー・システムズのソリューションを使用するという。

 これらの取り組みによって、これまで主に紙ベースで実行されていた各プロセスをデジタルベースに置き換え、エンジニアリング・チームと製造現場をつなぎ、それによってリアルタイムでのスケジュール変更を可能とする。製品や組立計画に何らかの変更が必要となる際に、その変更を実行する前に、起こり得る事態への洞察やリスク分析などができるため、製造現場のダウンタイムを削減することができるとしている。

photo ダッソーブースに出展されたドイツの農業機械メーカーCLAASのトラクター

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