PWMでマブチモーターを制御する:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(5)(3/5 ページ)
PWMの利点としては次の3点を挙げることができます。
- 飽和状態で動作させるのでトランジスタに負担が少ない
モーターを駆動するためにはそれなりの電流を流す必要がありますので、トランジスタなどで増幅する必要があります。トランジスタはベースに流す電流でより多くのコレクター電流を制御する増幅素子です。これ以上ベース電流を多くしてもそれ以上コレクターに電流が増大しない状態のこと飽和状態と云います。
飽和状態でトランジスタを動作させるという事は、トランジスタを増幅素子としてではなくスイッチング素子として用いているという事なのです。飽和状態で動作させることでトランジスタに対して負担を少なくすることができます。
トランジスタにかかる負荷の大部分は熱として消費されますが、PWMはトランジスタを飽和状態で動作させるためこの熱によるエネルギー損失を最低限に押させることができます。エネルギー的な観点から見ても、効率的にモーターを制御できるのです。PWMはONとOFFの繰り返しであり、OFFの時には電力が消費されないので、エネルギー効率の良い制御法と云えます。
モーターの出力をコントロールするには、モーターにかかる電圧を調整すれば良いわけですが、マイコンからの出力で電圧を調整しようとするとデジタル信号をアナログ値に変化するデジタルアナログコンバータ(DAC)などが別途必要になります。高機能なマイコンの中にはDACを内蔵している製品もありますが、ArduinoのマイコンであるAtmega328Pにこの機能はありません。
PWMはON/OFFのタイミングを変化させているだけですので、デジタル出力が1本あれば疑似的に出力電圧をコントロールすることができます。ですからPWMを使えばアナログ出力機能のないマイコンでも汎用的なデジタル出力端子を用いて電圧を制御できるのです。
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