アンダーソン氏は3D Roboticsの提供価値について「ハードウェアであるドローンそのものではない。ソフトウェアが重要だ。そして今後は、そのハードウェアとソフトウェアで取得したデータに移行していく」と言い切る。実際に、複雑な地形のデータなどがまとめられたスライドを見せながら「ここにはドローンは映っていない。ドローンで取得した地形データにこそ価値がある」(同氏)とする。
さらに重ねて「いい仕事をするとハードウェアは見えなくなる。例えば、私の祖父が発明したというスプリンクラーは良い例だ。一定のスケジュールで庭に水をまくがその姿は見えない。セキュリティカメラもそうだ。姿が見えない、ある意味つまらないロボット(boring robot)こそ、いいロボットではないか」(同氏)と持論を展開した。
また、3D Roboticsがドローンの事業化を加速できている理由として、オープンイノベーションの枠組みを挙げた。アンダーソン氏は、Linux Foundationの傘下でドローンの基盤ソフトウェアを開発するプロジェクトDronecodeの立ち上げに尽力。2014年10月の設立から参加社数は急速に伸びており「ドローン大手では中国のDJI以外は加盟している」(同氏)。ほんの数日前に、Dronecodeジャパンが発足したことも付け加えた。
現在のドローンは、人間が目視で確認しなければならないところを、人間に替わって行うという用途が多い。アンダーソン氏は、「ただし今後は、人間では見ることができないところで使われるようになる。そうなれば、既存のビジネスとも競合しないので大きく成長できる」と期待する。
その例の1つとして挙げたのが精密農業(Precision Agriculture)だ。米国の大規模農業では、水まきや肥料/農薬の散布は均一に万遍なく行うのが一般的だ。これを、ドローンで状態管理し、必要なところへ必要な時に行えば、より効率よく質の高い農業を行えるといわけだ。
もう1つの例が、地球表面のより詳細な撮影である。「Google(グーグル)は取得したデータを価値として提供している企業だが、地球表面の撮影については、Google Earth向けの衛星による撮影と、Google Street Viewに使うクルマによる道路周辺の撮影という両極端になっている。ドローンによる撮影はこの間、“Missing Middle”をつなぐ手段になる」(同氏)とし、将来的には地球表面の撮影の多くをドローンが担うと主張した。
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