倒産寸前の大ピンチからV字回復、ICT活用で復活した紳士服メーカーの戦略イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(6)(6/6 ページ)

» 2016年02月26日 07時00分 公開
[松永弥生MONOist]
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戦国武将とスーツの意外な組み合わせが大成功

 川辺社長がオーナーになった理由は、Faavo大阪の理念である「地域の課題を解決する」「各地域のために活動する団体や個人を応援する」に共感したからだ。地域を盛り上げるプロジェクトに特化したクラウドファンディングネットワークで大阪をもっと元気に、もっとにぎやかに盛り上げたいという思いがあったそうだ。

「真田幸村スーツ」をクラウドファンディングで企画。あっという間に出資者が集まった

 そこでも、まず自分が実践して成果を出すのが川辺社長らしい。2014年9月に歴史好きの社員が起案者となり“大阪にちなんだ、大阪発の服「真田幸村スーツ」を作る”を旗印にクラウドファンディングを実施した。

 谷町は大阪の陣で戦場となった場所だ。そして2015年は大阪夏の陣から400年となる記念の年、さらに2016年の大河ドラマの主役に真田幸村が決定している……といった背景を生かし、大阪の縫製業界をもりあげたいと考えたそうだ。

 企画は当たり、当初の目標額50万円は10日で達成。最終的に245万円の支援金を集めた。真田幸村ブームの恩恵もあり、クラウドファンディング終了後もメディアからの取材が続いているそうだ。

写真右が真田幸村スーツ。裏地に真田幸村カラーの赤をポイント使い。ネームには真田六文銭と不惜身命。随所に男の遊び心が満載。写真左は武将スーツ第3弾の北条氏康スーツ(小田原市とコラボしたもの)

中小製造業のビジネスに欠かせないICT活用

 川辺社長は、自身の経験から中小製造業のビジネスにはICT活用が欠かせないと考えている。中小企業は大手に比べるとどうしてもインターネットの活用が遅れている。人的リソースに限りがあり、IT業界の情報スピードに追い付くのが難しい側面があるからだろう。

 そこで、IT活用セミナーで知り合った経営者同士で、ネット通販でどのように売り上げをアップするかを学ぶ勉強会も開催してきた。大阪の情報を発信する地域ブログポータルサイト「まちブログ大阪」を組織し、TwitterやFacebook、クラウドファンディングなどの活用方法についても情報交換をし、積極的にICTを取り入れてビジネスに役立てているという。

 川辺社長は「Made in Tanimachi」を旗印に、地域とともにビジネスを発展させていく。

筆者プロフィール

松永 弥生(まつなが やよい) ライター/電子書籍出版コンサルタント

雑誌の編集、印刷会社でDTP、プログラマーなどの職を経て、ライターに転身。三月兎のペンネームで、関西を中心にロボット関係の記事を執筆してきた。2013年より電子書籍出版に携わり、文章講座 を開催するなど活躍の場を広げている。運営サイト:マイメディア


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