今回のCESで、スマートホームプラットフォームを発表したのはPanasonicだけではない。独Boschも新たに「Bosch Smart Home System」を発表した。
これはBoschが用意するハブを経由して、Boschの家電やアプライアンス、パートナー企業の展開する製品などを同一アプリからコントロール可能にするというものである。Philipsのスマートライト「Hue」が最初のパートナー企業製品となっており、Smart Home SystemのアプリからHueのフルコントロールが可能とのことだ。
実はBoschは既にSiemensと提携して、家電連携を実現する「Home Connect」を展開している。他にも、2014年12月にBosch、Cisco、ABBがスマートホーム向けプラットフォームを構築するジョイントベンチャーを立ち上げており、Boschは「スマートホーム」に関する取り組みを複数行っていることになる。
筆者がその点についてCESに参加しているBosch社員にコメントを求めたところ、ジョイントベンチャーについては詳細を明かすことができない、としてコメントしてもらえなかったが、家電連携の「Home Connect」との関係性については今後の展望を教えてくれた。
Bosch社員によれば、Home ConnectはBoschおよびSiemensの対応家電をコントロールするためのものであり、今回発表したSmart Home Systemの中にも順次組み込んでいく予定とのことだ。
ただし、Smart Home Systemアプリから対応製品を完全にコントロールするのではなく、オン/オフ等必要最小限の機能のみコントロールできるようになるという。細かい設定や操作等はSmart Home SystemアプリからHome Connectアプリに移行して行うそうだ。
なお、Smart Home System経由でコントロールできるHome Connect対応家電はBosch製品のみでSiemens製の家電はコントロールできないとのこと。具体的な連携については2016年9月にドイツで開催される「IFA 2016」で発表される予定だという。
「スマートホーム」をどのように定義するかによってその機能に差が生じるのは冒頭で述べた通りだが、筆者が期待するスマートホームソリューションに近いものもようやく出てきた。韓国の浄水器メーカーでありホームアプライアンスも手掛けるCowayの「Life Care by IOCare」である。
Cowayが紹介していたのは、浄水器、空気清浄器、睡眠モニタリング機器、そして便座の4つの機器連携である。健康な体を保つために必要なものとして水分、空気、睡眠に注目し、加えて、身体状態をモニタリングすることで日々の生活を健康的なものにしていこうという取り組みである。
Cowayが浄水器メーカーであることから、その基軸にあるのは浄水器だ。個人の年齢や性別など適合した理想的な水分量を摂取できているかモニタリングし、不足している場合はスマートフォンに通知される。その判断には、浄水器の利用回数や摂取水分量だけでなく、睡眠やトイレの利用状況等のデータも活用するとしている。
情報取得の方法として興味深いのは、トイレに着座することで、便座がその人の体重、水分量、体脂肪率、トイレの回数と着座時間を測定するということだ。そして利用回数や着座時間に応じて、水分が足りていないと判断した場合はスマートフォンに通知されることになる。なお、着座により個人を識別できるのは4人までとなっている。
その他にも空気清浄機が室内の空気の質をモニタリングし、二酸化炭素量が増えているときなどにはアプリに通知して換気や空気清浄を促す。もちろん、スマートフォンからの空気清浄器のコントロールも可能だ。
現時点ではスマートフォンへの通知およびスマートフォンからの機器コントロールを基本としているが、もし、これが将来的に医療や介護分野と連携することができれば、新たな市場が生まれると筆者は考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.