1月6日から開催された、ラスベガスコンベンションセンターのメイン展示会場では、先述のトレンドウオッチでの予告通りVR関連の展示がとても多かった。VRの主役である、OlucusのブースではRiftの体験ツアーを待つ長蛇の列ができた。残念ながら、各種の取材をこなす必要があった筆者は今回Riftを体験する時間がなかった。その代わり、GoProのブースでサムスンのGear VRを体験。GoProでは、VR対応の画像撮影のために、立方体の中に6個のカメラを装備したパッケージングを展示した。
またドローンでは、中国の大手DJIが量産型「ファントム3」の他、プロフェッショナル向けの高級機器を各種取りそろえていた。フランスのParrot(パロット)は、2015年11月に発売した「Bebop2」向けとして、サムスンのGear VRと連携したコントローラを展示した。
ドローンについては今回、連邦航空局(FAA)長官のマイケル・フエルタ氏が記者会見を行い、米国国内でのドローン登録者数が18万人に達したことを明らかにした。ドローン操縦者が、ドローンの飛行可能な空域を確認できるスマートフォンのアプリ「B4UFLY」を正式に公開したことも発表した。
同アプリは、2015年6月から試験的に配布して以降、パブリックコメント期間を経て、FAAで改良を続けてきたという。ドローンについては、米国の電機/物流業界から「次世代の産業」として大きな期待が掛かっており、こうした業界から各州の選出議員を通じた、ワシントンDCの連邦議会に対するロビー活動が盛んだ。
FAAでは現在、ドローンの操縦者の視界外で飛行させるための実証試験を、民間企業に委託して全米各地で行っている。アマゾンの「プライムエア」や、Google(グーグル)の「プロジェクトウイング」など、大手IT企業による商用ドローンの早期実用化を見込んでいる。
この他、メイン会場に隣接するゲートウェイホテルなどでは、中国、韓国、台湾などのエレクトロニクス部品の小規模サプライヤがブースを並べていたが、商談に訪れる人はまばらな状態が続いていた。
筆者はCESの一般開催期間中に、サンフランシスコへ空路で移動し、テスラ工場の視察と「モデルS」による自動車線変更の試乗会に参加した。1月9日は、再びラスベガスに戻り、CES開催最終日を取材。明けて10日には、「北米国際自動車ショー」、通称デトロイトモーターショーを取材するため、デトロイトへと飛んだ(後編に続く)。
桃田 健史(ももた けんじ)
自動車産業ジャーナリスト。1962年東京生まれ。欧米先進国、新興国など世界各地で取材活動を行う。日経BP社、ダイヤモンド社などで自動車産業、自動車技術についての連載記事、自動車関連媒体で各種連載記事を執筆。またインディカーなどのレース参戦経験を基に日本テレビなどで自動車レース番組の解説も行う。
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