ここでは今まで紹介してきたモデリング失敗例の原因分析から、対策をする根元からの対策でなく、小さなコツというべきものを紹介します。いわば前節は病気を外科手術する対策でしたが、ここで紹介するコツは日常的に服用する常備薬的な対策になります。ただし、これらのコツの中には外科手術と相反するものもあります。薬で病気の発症を抑えるか、外科手術で根本的に病気を治すかの選択を迫られることもあります。
ネーミングは実はモデリングの入口であるだけでなく、多くの割合を占めているモデリング作業の一部です。前回の記事で矛盾のあるモデル図の中でも言いましたが名前と実態が懸け離れているものは論外ですが、全世界のエンジニアの頭にイメージがすぐ沸くネーミングをするべきです。そのネーミングのコツを紹介します。
(1) 注目点によるネーミング
ネーミングは注目している点の名前と全体の名前のバランスになります。例えば、飛行機のチケット予約システムを「フライト」とするか「チケット」とするかです。どちらの意味で多く使われるか、どちらの方が話が通じやすいかなどで判断します。
(2) 日本語と英語
日本人の宿命として、概要レベルのモデリングでは日本語、詳細レベルでは英語でネーミングしています。最終的にはプログラムコードとして英語になりますので、日本語のネーミングを考えるときも英語ではどうなるか、念頭に置いて考えるようにします。
例えば、日本語で「○○○情報」や「○○○データ」「○○○番号」の名前を付けていても、実際のプログラムコードでは information(inf)、data(dat)、number(num, id)などは付けないでしょうから、日本語の名前付けのときにも付けないようにします。
(3) 名前は短い方がいい
もしネーミングで長い名前と短い名前で迷っていたら、迷わず短い名前を選択してください。そして長い名前にリネームするタイミングはそのオブジェクトが大きくなってからで大丈夫です。オブジェクトは分割する方が合成するよりもコストが掛かりません。ネーミングも同様に短い名前を複数の長い名前に分割するのは、逆よりもコストが掛かりません。
ネーミングに関するコツはこの他にもいろいろあります。またネーミングは文化です。文化の違いによるネーミングの違いもあります。これらを考慮してネーミングしてください。
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