ビットコインのような「仮想通貨」の根幹技術であるブロックチェーンを、医療やライフサイエンスの分野に応用しようという動きが世界で起きている。
金融×IT(FinTech)の分野で話題になっているビットコインは、法定通貨とは異なる単位を有し、インターネットを通じて電子的に取引され、資金移動や物品の購入時の対価の弁済といった決済手段として利用される「仮想通貨」である。このビットコインを支える基盤技術を提供するのが「ブロックチェーン」だ。
図1は、ブロックチェーンのエコシステムの全体イメージを簡単に示したものである。
ネットワークのレイヤーから見ると、ブロックチェーンは、ピアツーピア(P2P)型の分散ネットワークインフラストラクチャより構成される。データストレージも各ノードに分散する形態をとる。
プラットフォームのレイヤーから見ると、強固な暗号化/電子署名、コンセンサスメカニズム(ノード間での合意形成)、分散型元帳などを特徴としている。
アプリケーションサービスのレイヤーでは、トランザクション、電子記録、リアルタイム処理など、ブロックチェーンならではの特徴を生かしたオープンソースベースのアプリケーションソフトウェアをさまざまな分野向けに開発/実装してサービスを提供できる点が特徴だ。
金融分野向けに特化したサービスの代表例がビットコインであり、今後は、金融以外の分野の付加価値サービスにブロックチェーンが利用されることが期待される。医療分野については後述するが、法務分野の「スマートコントラクト」は、ブロックチェーン上で利用される契約交渉などのためのプロトコルであり、契約行為をプログラム化し、自動的に実行しようとする仕組みである。
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