MONOist 車載分野のARMコアのプロセッサと言えば、これまでは車載情報機器がほとんどだった。他の車載システムでの採用状況はどうなっているのか。
ヨーク氏 まずADASについては、ほぼ全てのADASでARMのプロセッサコアが何らかの形で用いられている。車載カメラベースのADASで知られるMobileyeはARMコアを採用している。車載情報機器とつながりの深いDISについても広く採用されている。電動化についても、モーター制御と電池モジュールのセルバランス管理でデザインウィンを獲得した。
また、車車間通信や路車間通信に用いるV2X(Vehicle-to-X)通信モジュールは全て、ARMコアベースになっている。複数のスピーカーを用いるサラウンドオーディオシステムもARMベースのものが多くなってきた。低コストでありながら高音質なので、大衆車向けに高品質カーオーディオを展開できるからだ。
MONOist プロセッサの数が出る、ボディ系やシャシー系のシステムについてはどうか。
ヨーク氏 フリースケールがボディ系やシャシー系システム向けのマイコンに「Cortex-M4」を採用する方針を示したが、他の大手車載半導体メーカーもARMコアの採用を始めている。車載マイコン3位のInfineon Technologies(インフィニオン)は、ブラシレスモーター用マイコンにARMコアを採用した。ルネサスも、車載カメラモジュールで映像データを圧縮する「R-Car T2」に「Cortex-M3」を搭載している。
ほんの3年前まで、車載半導体トップ3であるルネサス、フリースケール、インフィニオンの車載マイコンにARMは採用されていなかったわけで、浸透は着実に進んでいると感じている。
これらARMコア採用の広がりは、共通アーキテクチャによる標準化でソフトウェア技術の革新を進めたいという自動車業界の考えが反映されたからだろう。2020年には、車載プロセッサ市場におけるARMコアのシェアは、今よりもかなり増えているだろう。
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