昔はこれでもよかったのです。円の価値も低く、日本人の人件費も安かった時代。自分の役割に実直に、正確に、早く目の前のモノを作り上げる日本人による「生産の能力」は、戦後の量産の時代に世界から高い評価を受けました。
昨日より、少しでもきれいに。少しでも早く。勤勉な日本人は努力を重ね、質の高い製品を量産しました。日本人の国民性がうまく発揮され、世界が「MADE IN JAPAN」を求めました。
だけど今はそうではありません。日本はもう世界を代表する経済大国であり、人件費も、円の価値も、格段に上がりました。もう、手を動かしてモノをつくることだけで日本が生き抜くことなんてできないのです。
「製造」にこだわらず、もっともっとクリエイティブな方向へ役割を広げていかねばなりません。「MADE IN JAPAN」の過去を捨て、新しいモノづくりにチャレンジするのです。
日本のモノづくりは、いや、日本のモノづくりを担うエンジニアは、変わらなくてはいけない。今、日本のエンジニアは、危機にさらされているんだという認識が必要です。
では、どうしたら日本はイノベーションを起こせる国になるのでしょうか。どうしたら私は変革をもたらすエンジニアになれるのでしょう。
上記のような国民性を理解した上で、それを打破する能力を身につけていくことが求められます。そこで次回は、私が考える“イノベーターに必要な能力”について、具体的にお話しします。
通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。
2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。
現在はVIの将来的な発展を担う「VI開発部」の主要メンバーとして、新たなビジネスモデルの策定やVIブランドの構築、社員の育成などを行う。
株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/
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