もはやPHEVやEVは特殊なクルマではない――東京モーターショー2015レポート和田憲一郎の電動化新時代!(18)(2/3 ページ)

» 2015年11月06日 11時00分 公開

パワートレインの一体開発が進行

 外観を同様にしようとすれば、車両開発時に、どうしてもガソリン車とPHEV/EVとプラットフォームを共用する必要が出てくる。特に部品点数が多いPHEVではなおさらであろう。

 日本では、部品メーカーの得意分野によるところもあるが、モーターはモーターメーカー、インバータやDC-DCコンバータなどは電気/電子機器メーカー、トランスミッションはミッションメーカーなど機能別に分業していることが多い。自動車メーカーがそれを集めて、サブアセンブリ化したり、一部にはモジュールとして組み立てている。しかし、この弱点は要素部品ごとの小型化、軽量化に関して最適化はできても、全体としての最適化に必ずしもつながるとは言いがたいことである。

 一方、ドイツ勢は、コンチネンタル、ボッシュ、シェフラーなど大手サプライヤが多いせいか、複数の部品を設計段階で一体化し開発している。そのためには、自動車メーカーとの周到な連携が必要であり、かつ全体をまとめあげるシステムインテグレーター(以下、SI)としての能力も必要となる。

 以下に、コンチネンタルのモーター一体化部品や、VWの「e-up!」のモーター一体化部品を示す。単なるアセンブリではなく、ハウジング含め一体化していることがよく分かる。日系部品メーカーは、このように全体としての小型化、軽量化、低コスト化を迫られた時に強みを示せないのではなかろうか。

コンチネンタルのモーター一体化部品 コンチネンタルのモーター一体化部品(クリックで拡大)
「e-up!」のモーター一体化部品 「e-up!」のモーター一体化部品(クリックで拡大)

 最近は、ガソリン車でもかなりの要素部品を固まりとして欧州部品メーカーに開発依頼している例もあり、今後ますますその傾向が強まると思われる。そうれであれば、今後は単品でなく、いかにしてモジュールで仕上げるか、部品メーカーとしての総合力が必要となる。さらに、欲を言えばモーター、インバータなどのモジュール開発においてSIとして活躍しようとすればするほど、自動車メーカー開発部門の一部として、熱コントロールも含めた動力性能、衝突要件、NVH、車両の軽量化などをどこまでサポートできるかが問われるのであろう。

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