間葉系幹細胞の再生医療実用化に貢献する製品開発に成功医療機器ニュース

新エネルギー・産業技術総合開発機構は、DNAチップ研究所、ゼノアックリソース、大陽日酸の3社が、間葉系幹細胞を対象とした再生医療製品製造のための製品開発に成功したと発表した。

» 2015年10月27日 08時00分 公開
[MONOist]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年10月8日、NEDOプロジェクトの成果をもとに、DNAチップ研究所、ゼノアックリソース、大陽日酸の3社が、間葉系幹細胞を対象とした再生医療製品製造のための製品開発に成功したと発表した。

 DNAチップ研究所は、ヒト間葉系幹細胞の品質評価に特化したカスタムアレイCGH解析サービスを2015年10月8日に開始した。これにより、従来の検査法(染色体解析)と比べ、「短期間(5分の1)」「少ない細胞試料(10分の1)」「高解像度(100倍の詳しさ)」で、再生医療用細胞のゲノム異常を検出することが可能になった。本成果は、今後の再生医療分野における安全性・安定性評価のための重要な手法の1つとなる。

 ゼノアックリソースは、国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所と共同で、移植用ヒト間葉系幹細胞の輸送可能な保存技術を開発し、GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠した、国産初となる細胞凍結保存液の商品化に成功した。生産拠点を福島県郡山市とし、2015年5月25日に販売を開始している。

 大陽日酸は、国立成育医療研究センターと共同で、温度履歴情報統合管理システムを開発。再生医療用細胞の凍結、解凍、移送までの複数に及ぶ工程の個々の温度データを一括管理することが可能になった。拠点間の輸送時のみならず、凍結・解凍処理の環境、施設内の移動環境も記録管理することができるもので、2016年4月の商品化を予定している。

 これらの成果は、細胞を育て、保存し、届ける工程に関わる製品および技術提供であり、再生医療の最終製品の品質を評価し、品質を維持したまま各医療機関などへ供給するために必要な要素技術群として、間葉系幹細胞の再生医療実用化への貢献が期待される。

photo 再生医療製品製造における同成果の位置付け
photo カスタムアレイCGH解析サービスの流れ
photo GMP準拠の間葉系幹細胞凍結保存液
photo 温度履歴情報統合管理システムの概要

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