フォルクスワーゲンの排ガス不正から始まる、自動車メーカーのEVサバイバル和田憲一郎の電動化新時代!(17)(3/4 ページ)

» 2015年10月26日 10時00分 公開

「ティッピングポイント」を超えて加速

 筆者はかねてより、2017〜2018年にかけて、電動車両第二の波がくるのではと予想していた。その背景として、電動車両の普及を促進させる複数の要素が、まるで偶然のように2017〜2018年に掛けて、同時並行的に起こるからである。

 具体的要素として、電池の価格低下とエネルギー密度の向上、充電インフラの充実、日本における充電サービスの統一、V2H(Vehicle to Home)対応車の出現、ワイヤレス給電、自動運転車などである。これら複数の要素が同時期に起こることでトリガーとなり、“ティッピングポイント”と呼ばれる大転換点を迎えるものではないかと推測した。

 なお、ティッピングポイントとは、コラムニストであるマルコム・グラッドウェル氏が提唱した概念で、ある閾(しきい)値を超えると一気に物事が広がる劇的な変換点を示す。

EV/PHEVにティッピングポイントが生じる7つの要素 EV/PHEVにティッピングポイントが生じる7つの要素(クリックで拡大) 出典:日本電動化研究所

 そして、2015年初にはしばらくFCVの話題が続くが、秋口からは流れが変わり、EV/PHEVに話題の中心が移るのではと予測した。2017年の東京モーターショーには、EVやPHEVの量産車が多数出てくることを考えると、コンセプトカーを出すのは今年(2015年)の東京モーターショーではないかと考えたからである。

 ある意味予想通りとなっているが、今回のVWの動きはそれを決定づけさせるものとなった。今後、各社が一斉に動き出し、きたるべき第2世代(2017〜2018年)、さらにその6〜7年後となる第3世代(2023〜2025年)へと、急激にEV/PHEVが普及拡大していくものと想定される。

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