スケルトニクスは2013年10月設立のベンチャー企業だ。沖縄工業高等専門学校(以下、沖縄高専)の同級生である白久氏(代表取締役CEO)と阿嘉倫大氏(取締役CTO)などで立ち上げた。
スケルトニクス立ち上げの経緯について、白久氏は「もともと父親が自動車整備を行っていたこともあり、モノづくりが好きだったが、その流れから沖縄高専に進学し『高専ロボコン』に参加。ロボコン終了後に退屈で『なんかやりたい』と思って始めたのが、外骨格ロボットスーツだった」と当時を振り返る。白久氏らは2008年の高専ロボコンで優勝しているが、その時にリンク機構を使ってモーターの回転を歩行動作に変換し、さらにそれを拡大するという仕組みを取り入れていた。外骨格ロボットスーツ「スケルトニクス」はこれを基に人体の動きを全て拡張する仕組みを組み込んだロボットスーツで、その原点は高専ロボコンにあったといえる。
ただ、この時は「この外骨格ロボットスーツをとにかく形にして公開する」ということを目標に期間限定での活動として取り組んでいた。そのため、最終的に2011年2月にニコニコ動画に投稿して終了。この動画はその後YouTubeなどにも転載され、世界中から大きな注目を集めることになったが、ここからすぐに起業したわけではない。白久氏と阿嘉氏は別々で趣味としてスケルトニクスの開発などを進めていた。
転機となったのが、2011年12月に白久氏と阿嘉氏らが再会した際に立ちあがったプロジェクト「エグゾネクス」である。「スケルトニクス」は、リンク機構で人間の動きを拡張するため動力なしに滑らかで大きな動作を実現できる点が特徴だった。しかし、逆に重いものを持ち運んだり、人々の生活を支援するような用途では使えなかった。また、「スケルトニクス」は持ち運びが難しいという課題を抱えていたため「変形して車など移動体になるロボットを実現したい」というアイデアがあったという。
しかし、外骨格だけでさらに動力源もほとんど不要(手の指の動作にはアクチュエーターを採用)な「スケルトニクス」に対し、「エグゾネクス」は関節各部にアクチュエーターが必要になり、重量も増すため外骨格の素材も高い剛性が必要になる。「スケルトニクス」に比べて大きな資金が必要になるというわけだ。
そこで、その当時形にできていた「スケルトニクス」を「今できること」に特化して販売することを検討する。そして「スケルトニクス」を「ライブパフォーマンス用外骨格ロボットスーツ」という役割に特化させ、「スケルトニクス」の販売とレンタルなどをビジネスの中心に据えた法人スケルトニクスを設立した。
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