スタートアップはビジネス基盤が脆弱であり、ビジネスが軌道に乗るまでは大変な苦労をするものだが、スケルトニクスも例外ではない。法人化を決めたスケルトニクスでは、ロボット販売、イベント派遣、受託開発の3本柱を据えて事業を運営してきた。ただ売り上げは全く安定せず、非常に波の大きな2年間だったという。
「事業開始からすぐに『スケルトニクス』が1台売れて、幸先が良いと思っていたらその後は続かず、イベント派遣によって何とかつなぐ状況。2015年2月にドバイでロボットがまた1台売れたが、安定した事業運営ができているとは言い難い状況だ。初年度の月給は12万円という状況だった。投資や融資を受けるわけでもなく助成金も活用できなかったためスタートアップというよりはむしろスモールビジネスを粛々と進めている感じだ」と白久氏は苦労を語る。
これらの苦労を重ねながらも、そもそものスケルトニクス発足の理由であるエグゾネクスプロジェクトは順調に進行。ロボット販売やイベント派遣などのビジネスとしての活動は4割程度にとどめ、研究開発に6割程度の時間を使っており、実現に向けて1歩1歩進んできているという。
白久氏は「1年間で上半身2回、下半身3回のプロトタイピングを実施。これらの結果、高さ2.6mで重さ400kgで歩行可能という最終仕様を決定することができた。また今回は変形を重視せず、まずはロボットパワードスーツの実現に力点を置くことを決めた」と述べる。「エグゾネクス ギア」は2015年中にほぼ完成させ、2016年内のどこかで公開する予定だとしている。
また「エグゾネクス ギア」の公開とともに従来のライブパフォーマンスだけでなく直接人の活動を支援するような開発路線に変更する他、融資なども呼び込むスタートアップ型ビジネスへと進化させる方針を示す。
白久氏は「現在ロボットスーツで期待されているような建築や土木、流通、介護などの領域は高い要求性能やコストパフォーマンスが求められ、われわれでは現在は満たせない。スケルトニクスは当初『必ずしも必要ではない』ライブパフォーマンス業界で評価を受け成功した。『エグゾネクス ギア』についても『スケルトニクス』と同様市場のすき間を見つけ、必ずしも必要ではなく、比較対象のない領域で勝負していきたい」と今後の方向性を語っている。
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