クリーンディーゼルを構成する主要部品として知られているのが、コモンレールやインジェクタ、高圧燃料ポンプから構成されるコモンレールシステムだ。
GDエンジンのコモンレールシステムは、デンソーの第4世代品である。最大噴射圧力は250MPaまで対応可能だが、GDエンジンでは220MPaで使用されている。
インジェクタは、KDエンジンでは高い応答性での制御が可能とされるピエゾ方式を採用していたが、GDエンジンではより安価なソレノイド方式に変更した。ただし、ソレノイド制御部をインジェクタの燃料噴射部により近い下側に配置することで、従来のピエゾ方式と同等クラスの応答性を実現しているという。
なお、デンソーの第4世代コモンレールシステムは、「i-ART(Intelligent Accuracy Refinement Technology)」と呼ぶフィードバックループ噴射制御システムを採用できることが知られている(関連記事:「世界最高圧」のコモンレール、デンソーが2013年発売のディーゼル車に納入へ)。Volvo Cars(ボルボ)が2015年7月から国内市場に投入した排気量2.0lのクリーンディーゼルエンジン「D4」は、デンソーの第4世代コモンレールシステムとi-ARTの組み合わせになっている。しかし、GDエンジンはi-ARTは採用していない。
最新のディーゼルエンジンにはほぼターボチャージャーが搭載されている。GDエンジンは、KDエンジンと同様に、可変ジオメトリーターボチャージャーを採用している。トヨタ自動車の内製開発である点もKDエンジンと同じだ。
ただし、GDエンジンの可変ジオメトリーターボチャージャーは、KDエンジンのものと比べて、大幅な小型化と高応答化を実現している。まず小型化については、ターボチャージャー各部のサイズをKDエンジンとGDエンジンで比較すると、吸気側のコンプレッサインペラの入口径は39mmから36mm、出口径は58mmから48mmに、排気側のタービンホイールの入口径は52mmから41.5mm、出口径は48mmから37.3mmになっている。
さらにタービンホイールについては、翼とつながる底部の形状が全てカバーされているフルバック型になった。従来は、軽量化などのために底部の形状にすき間のあるスキャロップ型だったが、フルバック型になることで背面へのガスの流れ込みを抑制できるようになり、タービン効率は10%ほど向上している。
また、トヨタ自動車が唯一内製で製造している部品である、アルミニウム製のコンプレッサインペラについては、精密鋳造から切削加工に切り替えた。「切削加工についても、加工の粗さをインペラの各部で調整することにより、全て鏡面仕上げにするのと比べて加工時間を3分の2に短縮した。もちろん要求性能を維持したままでだ」(同社の説明員)。
最高回転数も、KDエンジンの16万rpmから、23万rpmに向上している。これによって過給の範囲はさらに広くなっている。
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