Nest Labsも加盟している「Thread Group」が推進する「Thread」は、デバイス間通信を実現しメッシュネットワークを構築するための通信プロトコルである。低消費電力デバイス向けに開発されており、Threadを利用することによりロースペックなデバイスでもセキュアなデバイス間通信が可能となる。
しかし、課題は1つのデバイスを制御するにあたり、それぞれのデバイスに対応した1つのアプリが必要だということだ。つまり、デバイスの数だけ、スマートフォン上にアプリをインストールする必要に迫られる。
Brilloは、この課題も解決するとみられている。BrilloがWeaveを搭載した複数のデバイスを自動検出してシームレスに連携させ、共通アプリからそれぞれのデバイスを制御できるようにしてくれる見込みだ。
この点が、BrilloがAppleのHomekit対抗といわれるゆえんだろう。確かに同じ市場において類似したサービスの展開が想定されている。しかし、両社の参入目的はこれまで同様、一貫している。
AppleのHomekit展開目的はこれまで同様、iPhoneの魅力や価値向上の一環だと考えられる一方で、GoogleのProject Brillo は、Googleが長年にわたり参入を目指していた「宅内の情報収集」を実現するためミッシングリンクを補完したにすぎない。複数のスマートホーム施策を連携させることにより、効率的により精度の高い情報収集を実現しようとしているだけだろう。
加えて、Brilloは今後iOSにも対応するとみられている。これは、GoogleがAndroid端末という縛りさえも超えてあらゆるモノからのデバイス制御を実現し、情報収集できるようになることを意味している。Project Brilloにより、Googleのスマートホーム戦略が一気に加速させると同時に、宅内のデバイス以外のモノも制御する可能性を秘めているのである。
IoT分野において、Googleはウェアラブル分野では「Android Wear」で、クルマ分野では「Android Auto」で参入を果たしている。そこに加え、これまでの「Works with Nest」や「Thread」、そして今回の「Project Brillo」でスマートホーム分野への参入を確固たるものにした。そして、2015年6月には、スマートシティ分野に乗り出すべく、「Sidewalk Labs」の設立を発表している。GoogleはIoT市場制覇に向け着実に駒を進めているのである。
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