「こんな小ロットの発注、メーカーに頼んだら断られるし、何週間かかるか分かりません」と話す坪谷さん。タカクワ製作所のような町工場の利点は、少ない発注でも短納期で、しかもフレキシブルに対応してくれることだといいます。
「ここ2、3個穴開けてほしいんだけど、急ぎで!と言った場合、メーカーだと見積もり〜納品まで数週間かかってしまうんです」と坪谷さん。しかしタカクワ製作所に頼むと、「しょうがねぇな〜」と苦い顔をされつつ、すぐに対応してくれるとのこと。さすが町工場、柔軟さではメーカーも右に出られません。「やっぱりこういう場所の利点は多くあるし、需要もまだまだある。残していかなければいけないと思います」と坪谷さんは語ります。
タカクワ製作所には、過去に6人ほど従業員がいたこともあったそうですが、リーマンショックの影響もあり、現在は2人で切り盛り行っています。幸雄さんの後は、息子である主任の敏之さんが工場を継ぐことが決まっています。
敏之さんは当初別の仕事をしており、まさか継ぐことになるとは思ってもいなかったそう。幸雄さんも「まさか息子が継いでくれるとは思いもしなかった、けどその先は分からないね」と話してくれました。
今回取材したタカクワ製作所がある川崎市や、東京都大田区など、日本にはまだまだ高い技術を持つ町工場が数多く存在しています。しかし、加工技術があることと、販売や製品化のアイデアを産み出すことはまた別の話。今回のボードの件のように、いまある加工技術をさらに別の方向へ生かしていくアイデアが今後多く出てくると、町工場は一層エネルギーを取り戻すのかもしれません!
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