では熱流体力学から見ると、どういうことが起こっているのでしょうか? 今度はもう少し理論的に見ていきましょう。今回は流体解析ソフトウェアのベンダー ソフトウェアクレイドルに解析を依頼しました。同社は欧米勢が非常に強いCAEの世界では珍しい、自社開発、つまり「日本産のCAEソフトウェア」を開発しているベンダーです。そして、あの「下町ボブスレー」プロジェクトの一員で、流体解析を担当していることでも知られています。
同社が開発・販売する熱流体解析ソフトウェア「SCRYU/Tetra」には人体の表面温度や発汗量を解析し環境の快適性を見る「JOS(Joint System Thermoregulation-Model)」というユニークな機能があります。JOSは早稲田大学の田辺新一教授によって開発された人体熱モデルです。「体内の詳細な血液循環系がモデル化され、年齢、性別、体躯による生理量の補正の仕組みがあるなど熱流体解析ソフトと連成させるのに適している」(同社)ということです。
用途としては、例えば自動車に乗車した際の快適性を解析するなどがあります。自動車が単に移動するための手段ではなくなってきており、さまざまな付加価値を求められている背景から、そんな解析も求められているというわけです。
さて今回はそんなSCRYU/Tetra のJOSを使って、快足ボードについて解析してもらいました。解析をしてくださったのは、ソフトウェアクレイドル 技術部 技術二課 博士(工学)の伊丹隆夫さんです。
なお、ヒートシンクへの足の置き方についてはフィンとは逆、フラットな面に足を乗せた場合も検証していただきました。フィンはそもそも断面積を増やすことで放熱の効率をよくするためにあるはず……ですからね。
アイティメディアのエアコン設定温度が28度までなので、室温は28度とします。湿度は50%です。じめじめしているときの湿度が70%以上、カサカサと乾燥しているときが40%以下なので、過ごしやすい湿度だといえそうです。前述のサーモグラフィで温度を観察した日の湿度は55度でした。×歳の畑記者の代謝率は100W/m2としました。……体脂肪率はナイショにしておきます……(ちょっと高めでした)。
今回は「快足ボードあり」(快足ボードのフィンに足を乗せる)、「快足ボードなし」「快足ボード反転」(快足ボードの平面に足を置いて、フィンに空気が触れるように斜めにした)の3パターンについて解析してもらいました。
「快足ボードあり」「快足ボードなし」の温度分布はこんな感じです。快足ボードありの方が、頭上のツノ状の部分が大きく見えます。
「快足ボード反転」の温度分布はこんな感じです。
ボード周りの温度分布はこんな感じです。斜めのやつの方が高い気がしますが……よく分かりません。
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