そこで人体のそれぞれの部位別に温度変化を見ていくと、足回りを中心に温度低減効果があることが分かりました。
左足(L.FOOT)が0.7度、右足(R.FOOT)が0.5度くらいの差がありました。快足ボードがない場合の足の温度は35度台、ある場合は34度後半でした。
ちなみにボード反転した結果では温度低減の効果は少なくなりました……。
しかも上側を向いた右足(R.FOOT)が上昇してしまっています。これは、人体を無理に斜めにしてしまったせいですね。
ボードありのケースではボードからの放熱によって、発汗による放熱量が減少していました。ボード反転のケースでは発汗に加えて、人体からの対流と放射の放熱量も減少していました。
人体で発生した熱の放熱経路を部屋全体で見てみると、ボードありのケースで床への放熱が増加していました。一方、ボード反転のケースでは天井への放熱が増加していました。
快足ボードを置いた床にはどのような効果があったのでしょうか? 床を断熱した場合と断熱しない場合とで比較しました。
床面を断熱とすると、足先の温度低下幅が小さくなりました。床も放熱に貢献しているんですね!
先ほどのサーモグラフィ画像では足の温度に変化が見られませんでしたが、理論的には「快足ボードによる足先の冷却効果あり」ということになりました。ボードが放熱している分、発汗による放熱も抑えられているとのこと、つまり蒸れの原因となる発汗を緩和する効果もあるといえます。
ボードを正規の向きに置いた場合には、足先の体温低下が見られました。これはボードによって放熱面積が増加したことと、ボードが床面に近接しているため、28℃に固定された床面による冷却効果でボードとそれに接する足先が冷えたと考えられます。
床面を断熱とすると足先の温度低下は小さくなり、床面による冷却効果が大きな影響を与えていることが確認できました。
ボード反転パターンは小林が伊丹さんにむちゃ振りしすぎた感が否めません……。
ボードを反転させた場合には、ボードがない場合との温度は小さくなっています。これはボードと床面との距離が遠く、床面による冷却効果が小さいため、ボードの温度が下がらず、足先の温度が低下しなかったと考えられます。上側に位置する足は逆に温度が上昇していますが、斜めに配置したことによって、下側の足で暖められた空気が上昇して、上側の足の冷却を抑制した結果と考えられます。
ひとまず理論的には効果が証明されたということで、畑記者の熱対策として快足ボードという名のヒートシンクを採用してみることにしました。
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