燃料電池車「ミライ」を“解剖”人とくるまのテクノロジー展2015 リポート(2/4 ページ)

» 2015年05月22日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

アルミニウム採用で軽量化した高圧水素供給バルブ

 ミライに採用された自動車部品のメーカーのほとんどは、実証試験車「FCHV」のころから燃料電池車の開発に協力している。しかし価格が億円レベルと言われた実証試験車とは異なり、量産車であるミライ向けでは、コスト低減や軽量化のための開発が求められたという。ここからは、ジェイテクト、デンソー、豊田自動織機、アイシン精機、トヨタ紡織、愛三工業、愛知製鋼の展示を紹介する。

 ジェイテクトは、高圧水素供給バルブと減圧弁を展示した。高圧水素供給バルブは、水素タンクに充填された高圧水素の封止と供給に用いる。減圧弁は、高圧水素供給バルブから供給された高圧ガスを、燃料電池スタックで使用可能な圧力まで減圧する部品だ。高圧水素が関わる部品は、特殊なアルミニウムやステンレスでなければ脆(ぜい)化という現象によって劣化してしまう。ミライ向けでは、アルミニウムを広く採用することで大幅な軽量化を実現した。

高圧水素供給バルブ減圧弁 (左)高圧水素供給バルブと(右)減圧弁(クリックで拡大)

 これらの他、コラムアシストタイプの電動パワーステアリングや、ハブユニット、円すいころ軸受、カウンタドライブ用玉軸受などがミライに採用されたという。

 デンソーは、ミライの熱制御システム、エア供給システム、EV制御システム、水素系システムにさまざまな部品を供給している。展示では、燃料電池スタックに大きな関わりを持つ、熱制御システムと水素系システムを詳しく紹介していた。

熱制御システムの展示水素系システムの展示 (左)熱制御システムの展示。ラジエータ、電動ウォーターポンプ、冷却水制御バルブなどから構成されており、燃料電池スタックの温度制御で重要な役割を果たしている。(右)水素系システムの展示。水素タンクに水素を充填する際には、水素タンク内の温度や圧力を測定し、水素充填の圧力や流量が最適になるよう、水素ステーションに情報を送信する必要がある。そのための高圧センサー、温度センサー、赤外線送信機、そして水素充填に関する制御を行うECU(電子制御ユニット)から構成されている(クリックで拡大)

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