日本大学チームは、ドライバーの“骨年齢”を安全機能に活用する「スマート乗員保護装置」というユニークなシステムを提案した。会場では運転席のエンジンスタートボタン部分に、超音波センサーを利用する骨密度計測器を搭載したプロトタイプモデルを披露。骨密度は加齢とともに減少するという性質を利用して、人指し指部分の骨密度からドライバーが若年者なのか高齢者なのかを推定するというシステムだ。
では、骨密度から推定したドライバーの年齢を安全システムにどう活用するのか。日本大学チームが提案したのは、エアバッグやシートベルト、衝突被害軽減ブレーキといった安全機能との連携だ。高齢者であれば、骨密度も低くなり骨折耐性値が低くなるため、事故が発生した際に受けるダメージも大きくなりやすい。
そこで骨密度を利用した年齢推定システムと安全機能の制御システムを連携させ、事故発生時にドライバーが高齢者であればシートベルトによる引き締めを弱く、その分エアバッグによる保護力を高めるといったように、年齢に応じた最適な制御を実現しようというコンセプトだ。また、事故が起きた際に乗員の年齢を外部に送信すれば、障害予測にも利用できる。
会場では、実際に骨密度からドライバーの年齢を推定する様子が披露された。骨密の測定と年齢の算出は約1秒で行える。残った課題はそのセンシングの精度だ。測定する指の部位によって、算出される推定年齢が大きく変化してしまう。今後はこうした部分の改良を進めていくという。
審査の結果、優勝はジャイロ効果を利用した二輪車の転倒防止装置を提案した芝浦工業大学チームに決定した。ジャイロ効果を利用するというアイデアと、その完成度が高く評価された。同チームが提案した内容は、自動車技術会が2015年5月20〜22日にパシフィコ横浜で開催する「2015年 春季大会」でも展示される予定だ。
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