富士通研究所は、異なる日時に撮影された同じ患者のCT画像について、腫瘍を高精度に位置合わせする技術を開発したと発表した。腫瘍周辺に血管などの特徴点が少ない場合、広範囲の特徴点を手掛かりに腫瘍の位置を自動で高精度に合わせる技術となる。
富士通研究所は2015年2月10日、異なる日時に撮影された同じ患者のCT画像について、腫瘍を高精度に位置合わせする技術を開発したと発表した。
一般的にCT画像では、呼吸や心拍などで腫瘍の位置が変動するため、画像を比較する際、腫瘍周辺の血管などを手掛かりに位置を合わせる方法が用いられている。しかし、腫瘍周辺に血管が少ない場合は、その精度が低下するという課題があった。
今回開発されたのは、腫瘍周辺に血管などの特徴点が少ない場合に、広範囲の特徴点を手掛かりにして腫瘍の位置を自動で高精度に合わせる技術となる。同技術では、腫瘍位置を中心に広範囲にわたって特徴点を抽出し、腫瘍からの距離に応じて重みづけをして腫瘍位置のズレを算出。その算出したズレの方向と距離を打ち消す向きに画像を移動させ、位置合わせをする。
また、特徴点を対応させる際に、比較する特徴点数が増えると処理量も増えるが、比較に用いる画像特徴量(周辺画素情報)を簡素化したことで、処理を高速化した。これにより、複数枚の断面にわたる位置合わせが高速に行えるという。
肺疾患症例の実験では、実用化の目安となる誤差2.5mm未満で位置合わせ可能な割合が、従来の33%から83%へ向上したという。さらに、約20枚の断面画像で腫瘍の位置合わせをする場合、約1.5秒で処理できるため、画像診断業務の位置合わせにかかる時間を低減できる。
同研究所では、今後もさまざまな画像で実証実験を重ね、2015年度中に富士通製品への搭載を目指すとしている。
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