引継ぎ型は、各パラグラフに論理的な接続関係がある時に使用されます。図6のように、総論のパラグラフで、スタート(A)とゴール(D)を示した後に、各パラグラフのトピックセンテンスで、スタートからゴールにいく道筋をA→B→C→Dの順で説明していきます。図7に具体例を示しましたが、前のパラグラフのトピックセンテンスを引き継いでいくイメージです。
展開型は、各パラグラフが同じ種類の情報で並列関係にある時に使用されます。図8のように、総論でA、B、Cとキーワードを示した後に、各パラグラフのトピックセンテンスで、A、B、Cをそれぞれ説明していきます。図9に具体例を示しましたが、各キーワードがそれぞれの1つパラグラフとして、並列関係で展開されていくイメージです。
カズ君、どうだった? 分かりやすい文書の書き方は理解できたかしら?
はい! パラグラフですよね! パラグラフ!
理解できた怪しいけど……、まあいいわ。パラグラフを用いた文書作成は、日本ではあまりなじみがないけど欧米では「パラグラフライティング」と呼ばれ、文章を書く上で当たり前とされているものなのよ。――あ、そうだ、カズ君。突然なんだけどカズと会うのも今日で最後。しばらくお別れよ!
えーーー! いきなりどうしたんですか?まさか……けっ
残念ながら結婚じゃないわ!! 仕事でしばらく海外に行くことになったの!
そうですか、寂しいですね。今まで本当にありがとうございました。レイコ先生のおかげでコミュニケーションに自信が付きました。
そうね、この1年でカズ君はとても成長したわ。これからも頑張ってね! それじゃあ、さようなら。見送りはいらないわ……って、もういないじゃない! キーーッ!!
本連載では、コーチング、ファシリテーション、ブレインストーミング、交渉術、プレゼンテーション、ライティングといった6つのテーマについて1年にわたり解説してきましたが、いかがだったでしょうか? 本連載では、コミュニケーションに関するノウハウをいろいろとお伝えしましたが、コミュニケーションにおいて最も大切なことは「相手の立場に立つ」ということだと筆者は考えています。なぜならば、自身のコミュニケーションの評価は相手がするからです。そういう意味で6つテーマの全てに共通する本質は「相手の立場に立つ」ということです。
今後、コミュニケーションスキルは、営業など接客に関わる職種だけではなく、技術者にもますます必要になっていくでしょう。本連載から、「明日からの仕事に生かせるヒント」を少しでも得ていただけたなら筆者としてこの上ない喜びです。1年間お付き合いいただきありがとうございました。
小山新太(こやまあらた)
MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。
「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。
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