ちょっとメンドクサ〜イ人を相手に交渉しなければならないときは、どうしたらいいの? タイプ別にレイコ先生が丁寧に解説する!
小山田和成(オヤマダカズナリ)
中小ソフトウェアメーカーに勤務するエンジニア。入社8年目の30歳。技術力においては社内から一目置かれる存在で今年から係長に昇格。しかし、奥手な性格でコミュニケーションは苦手。通称「カズ君」。
杉本麗子(スギモト レイコ)
外資系ソフトウェアメーカーにて人事部長を歴任。その後、中小企業診断士を取得して独立。現在は、「ツンデレ」キャラを生かして売れっ子の人事コンサルタントとして活躍中。通称「レイコ先生」。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
カズ君、その後、交渉担当の仕事はどう? 上手く進んでいるかしら?
交渉の目的やターゲット、BATNA(合意できない場合の代替案)については準備できたんですけど、いざ、交渉のことを想像すると、嫌なイメージばかり浮かんできてしまって……。
そうね。確かに交渉の現場ではいろんなことが起こるから、不安に思うのも無理ないわね。でも交渉は闘いじゃなくて、対立を乗り越えるためのコミュニケーションだから、それを忘れなければ大丈夫よ!
でも相手がいきなり怒り出したりするかもしれないし……。やっぱり僕には交渉担当は無理……
オダマリ!! でもとかだってとか、子どもみたいなこと言わないの!!
ヒィーーー!!
……それじゃあ、今日は、やっかいな交渉相手に対してどのように対応すればよいのか教えてあげるわね。
お願いします!
交渉の現場で、相手が皆「話の通じる相手」であればよいのですが、現実は残念ながらそれほど甘くありません。人間の性格が十人十色であると同じで交渉でもさまざまなタイプが存在し、その中には少なからず「やっかいな交渉相手」が存在します。今回は、交渉の現場であなたが遭遇するかもしれない以下の4つのやっかいなタイプに対してどのように対応すればよいか解説します。
交渉の現場では、突如相手がけんか腰で怒り出すこともあります。そんな時はどうすればよいのでしょうか? まず、気を付けなければならないのが、人間も動物の一種なので、攻撃的な相手に対して本能的に以下のような反応をしてしまうということです。
「目には目を、歯には歯を」という言葉がありますが、攻撃的な相手に対してとっさに取る本能的な反応は、防衛本能からくる「反撃」です。相手が攻撃的な態度を取れば取るほど、あなたも同じように攻撃的になっていきます。売られたけんかだから仕方がないと思うかもしれませんが、反撃による交渉戦術は無駄な対立を生むだけで、あなたの利益になるようなことはほとんどありません。たとえ、その場では相手を打ち負かして勝利できても、これまで気付いてきた人間関係に決定的な亀裂を生じさせたり、その交渉をきっかけにして得ることができたかもしれない「利益」の可能性をつぶしてしまうのです。
攻撃的な相手のプレッシャーに負けてしまい、取りあえずその場しのぎで合意をしてしまうのが「譲歩」です。攻撃されると誰でも恐怖心を感じます。そして、その場から逃げ出したいという感情に支配されてしまうと、「取りあえず、この場を収めよう」と考え、本来は最後の手段として考えていた譲歩案をすぐに出してしまうのです。このような、その場しのぎの譲歩をしてしまうと、「この相手は、高圧的に接すればすぐにこちらの要求を飲んでくれる」と交渉相手は考えるため、味をしめて将来にわたってますます付け込んできます。その場しのぎの譲歩は、結果的に高い代償となってしまうのです。
「反撃」や「譲歩」といった本能的な反応に陥ってしまうのは、感情的な判断が先走ってしまい、冷静な判断力を見失っているということです。そうならないためにも、交渉の本来の目的は何なのかということを自分自身に問い掛けることが大切です。
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