ディーゼルノック音を10dB低減する技術、「CX-3」に搭載:エコカー技術
マツダは、ディーゼルエンジン特有のノック音を大幅に低減する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を開発。2015年2月末に日本市場で発売予定の新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」に採用する。
マツダは2015年2月20日、ディーゼルエンジン特有のノック音(ディーゼルノック音)を大幅に低減する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を開発したと発表した。同年2月末に日本市場で発売予定の新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」の小排気量クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」に採用する。
ディーゼルノック音は、ディーゼルエンジン内の燃焼異常に起因する異常な振動によって発生する音のことだ。コモンレールシステムなどを用いる近年のクリーンディーゼルエンジンは、燃焼異常が起こりにくいような制御を行っており、ディーゼルノック音も大幅に抑制されるようになっている。
それでもディーゼルノック音が完全に抑制されるわけではなく、発進時やゆっくりとした加速を行う際に、車室内で聞こえるという課題があった。
ナチュラル・サウンド・スムーザーは、完全には抑制できていないディーゼルノック音を大幅に低減するために開発された技術だ。そのためにマツダは、ディーゼルノック音の発生メカニズムを探究。燃焼時にコネクティングロッドの伸縮に伴って発生するピストンの振動が原因になっていることを突き止めた。この振動を吸収するため、従来のディーゼルエンジンでは空洞だったピストンピン内に内蔵したのが、専用部品となるナチュラル・サウンド・スムーザーだ。
小排気量クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」(左)と「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の組み込み位置 出典:マツダ
これにより、発進時やゆっくりとした加速時に車室内で聞こえやすい周波数3.5kHz付近のディーゼルノック音を、未装着車と比べて最大で10dB低減できたという。つまり、市街地の走行シーンなどで高い静粛性が得られるようになるわけだ。
なおナチュラル・サウンド・スムーザーは、日本市場で販売するCX-3の一部機種にオプション設定で提供される予定。
- マツダが「SKYACTIV-D」を開発できた理由は「内燃機関が好きだから」
ほんの数年前まで、国内市場では売れないといわれてきたディーゼルエンジン車。その認識を変えたのがマツダのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」だ。今回は、国内のディーゼルエンジン車市場が回復してきた背景とともに、新型「デミオ」とそのエンジンである排気量1.5lのSKYACTIV-Dについて説明しよう。
- 小排気量クリーンディーゼルの開発、最大の難関は経営陣の説得だった
マツダの新型「デミオ」に採用された排気量1.5l(リットル)のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」は、排気量2.2lの「SKYACTIV-D 2.2」の発表から3年足らずで開発された。新世代技術「SKYACTIV」に基づくパワートレインの開発を統括する仁井内進氏に、SKYACTIV-D 1.5の開発の背景や、今後のパワートレイン開発の方向性などについて聞いた。
- 段違いのクリーンディーゼルだから国内市場でも受け入れられる
マツダのSUV「CX-5」の販売が好調だ。この好調さを支えているのは、受注台数の多くを占めるディーゼルエンジンモデルに対する高い評価だろう。SKYACTIVエンジン開発担当者インタビューの後編では、国内市場で厳しい評価を受け続けてきたディーゼルエンジン車をあえて投入した背景や、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の技術詳細について聞いた。
- SKYACTIVエンジンは“理想の燃焼”に向けた第1ステップ
マツダの「デミオ」や「CX-5」など、次世代技術「SKYACTIV」を採用した新モデルの販売が好調だ。これらの車両の最大の特徴となっているのが、「SKYACTIVエンジン」による良好な燃費や排気ガス性能である。MONOistオートモーティブフォーラムでは、このSKYACTIVエンジンの開発を主導した、同社パワートレイン開発本部 エンジンプログラム主査の仁井内進氏へのインタビューを前後編に分けてお届けする。今回の前編では、SKYACTIVエンジンの開発の根幹を成す“理想の燃焼”に向けた取り組みについて聞いた。
- ディーゼル排ガスのPMを50%削減、デンソーの「世界最高圧」コモンレール
デンソーは、ディーゼルエンジンの燃料噴射システムであるコモンレールシステムについて、「世界最高」(同社)となる最大2500気圧(250MPa)の燃料噴射圧力を実現したと発表した。従来システムと比べて、車両の燃費を3%向上するとともに、排気ガス中に含まれる有害物質であるPM(粒子状物質)を50%、窒素酸化物を8%削減できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.