「相撲のすり足」もクリアに録音、NTTが処理技術を開発組み込み開発ニュース

NTTがスポーツ中継向けとして、観客が多い中でも「力士のすり足」「サッカーのシュート音」などの競技音をクリアに抽出する音声処理技術を開発した。2016年度に商用化する。

» 2015年01月28日 14時20分 公開
[MONOist]

 日本電信電話(NTT)は2015年1月28日、スポーツ中継向けとして、歓声に埋もれている競技音をクリアに抽出する音声処理技術「ターゲットマイク技術」を開発したと発表した。2016年度に商用化する予定だ。

 従来のガンマイクによる録音では周囲の音を十分に抑制できず、サッカーであればシュート音など、目的の競技音以外も多く拾ってしまっていた。新技術では複数マイク録音による空間情報と、歓声など周囲の音と競技音の特性の違い(音源の立ち上がりなど)を利用し、「サッカーのシュート音」「力士のすり足」「ゴルフのショット音」などを10〜1000倍に増幅し、周囲の音を抑えた迫力ある音声として録音できる。

photo 「ターゲットマイク技術」の概要
photo ソフトウェア技術なので特別な録音機材は必要ない
photo 通常のガンマイクとターゲットマイクの波形。通常のガンマイクでは競技音の発生時以外も音を拾ってしまっているが、ターゲットマイクでの録音では競技音だけを抽出できている

 同社は対象の音をよりクリアに抽出するための技術として、これまでにもパラボラ反射板と約100個のマイクを利用した「ズームアップマイク技術」や騒音下の会話をクリアに録音する「高騒音下対応マイク技術」を発表している。

 新開発の技術はソフトウェア処理であるため、録音機材としては一般的なマイクロホンがあればよく、また、競技音という特定の音を抽出することが可能であるため、サッカーや相撲、野球、ゴルフなど各種スポーツ中継での利用が期待できるとしている。

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