一方、デベロッパー部門のプライマリークラスは、より初心者向けという位置づけが明確になり、従来よりも難易度は低めに設定された。走行体は前回までと同じ倒立2輪型を使い、難所はイン側/アウト側ともに2つだけだ。
競技の詳細については省略するが、優勝したのは、イン/アウト両コースで最速タイムを叩き出した「いずみん」(MHIエアロスペースシステムズ)。このチームは、あえてラインを外し、アウト・イン・アウト走行で距離を短縮、全15チーム中で唯一の10秒台を記録したのは見事だった。
なお2015年の大会であるが、いよいよ新型の「MINDSTORMS EV3」の利用が可能になるということが、実行委員会から正式に発表された。これまでのMINDSTORMS NXTは2009年から6大会連続で使われてきたが、今後、入手が難しくなってくることから、来年はまだ利用が認められるものの、2016年からは完全にEV3に切り替わる。
今回、このEV3を採用した走行体のデモ走行が披露された。EV3版の走行体も2種類、倒立2輪型の「EV3Way」と3輪型の「EV3Trike」が用意されており、構成は従来のNXT版とほぼ同じだ。まだ「動くようになったばかり」とのことで、動きにぎこちなさはあったものの、ライントレースでゴールまで完走することができていた。
2015年大会でどちらを選ぶかは参加者の自由だが、「コンピュータとしての性能はEV3の方が高いが、まだ開発環境がこなれていない。センサーの特性が違うので、今までのノウハウが使えないというハンデもある。来年の段階では、どちらが有利かというのは一概には言えないのでは」(技術委員長の江口亨氏)という。
表彰式では、ETロボコン実行委員長の星光行氏が総評をコメント。初開催のアドバンストクラスについては、「予想外な展開が結構あって、最後まで、どこが優勝するのか全く分からなかった。競技の難易度が高かったが、来年からはEV3も入ってくる。コンピュータの力でいろいろできるのでは」と期待した。
またアーキテクト部門については、「学生チームはエンターテイメント系、企業チームはよりビジネス的なところを狙ってくる傾向がある。学生チームのパフォーマンスは素晴らしかったが、ETロボコン本来の趣旨である企画書や設計書、それをもう少し頑張らないと、総合力を競うETロボコンでは上位に行くのは難しい」と指摘。「たとえば自分が将来、会社に入ったときに、上司を説得させるためには企画書が必要。学生の皆さんは、そういうところをもう少し学んでいって欲しい」とアドバイスを送った。
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