IoT環境が広がり、製品がスマートコネクテッドプロダクトへと移行していった場合、製造業の製品開発の現場はどのようなことを考えなければならないのだろうか。グレムリー氏は「製品開発を行う際に3つのポイントで選択肢が発生する」と語る。
1つ目が製品の機能を実現する上で、メカ設計によるハードウェアで実現すべきなのか、それとも組み込みソフトなどのソフトウェアで実現すべきなのか、という点だ。スマート化が進めば、製品の数多くの機能がソフトウェアで実現できる。しかし、ソフトウェアの能力はハードウェアの能力にある程度制限される。「ハードウェアのイノベーションがソフトウェアのイノベーションにつながり、さらにそれがハードウェアのイノベーションへとつながるループを起こしていくことが求められる」とグレムリー氏は話す。
2つ目がソフトウェアを組み込みソフトとするのか、クラウドにソフトウェアを置くのかということだ。スマートコネクテッドプロダクトであれば、常にネットワークに接続しているため、ソフトウェアを必ずしも製品に組み込む必要性はなくなる。クラウド化すれば、常に最新のバージョンに更新できたり、新たな機能を扱えたり、さまざまなメリットを持つ。しかし一方で、セキュリティ面やレスポンス面での問題を抱えることになる。
「例えば、自動車のABS(アンチブレーキロックシステム)などでソフトウェアをクラウドに置くことは考えられないだろう。スリップした時に、いちいちネットワークに接続して情報を送り、そのレスポンスを待つ間にぶつかってしまうからだ。組み込みがいい部分、クラウドがいい部分を考えて製品開発を行わなければならないだろう」とグレムリー氏は述べる。
3つ目がビジネスモデルだ。常に接続できるスマートコネクテッドデバイスでは、製品そのものを販売する方法の他、使った分だけ販売するというような「サービスビジネス」を展開できる。例えば、既に行われている例では、ジェットエンジンに対しエンジンの出力量だけ課金するという方法などがあるという。グレムリー氏は「IoT時代になれば、製品として販売するのか、サービスとして販売するのか、さまざまなビジネスモデルが考えられるようになる」と語る(関連記事:製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない)。
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