中島氏は自動車用タイヤを取り巻く環境変化の事例として、欧州連合(EU)で進められている燃費規制を紹介した。EUは、自動車メーカー各社に欧州市場で販売する新車の燃費性能に対して規制を敷いている。中島氏はその規制内容について、「2025年の目標値は全ての新車をハイブリッドモデルのプリウスに置き換えてもクリアできない数値で、非常に厳しい」と説明する。
さらに中島氏は、自動車用タイヤに対する騒音規制も次世代タイヤの開発を考える上でポイントになると説明する。「既に欧州では自動車用タイヤに対する騒音規制が導入されている。日本ではタイヤメーカーによる自主規制の段階だが、今後導入される可能性は高い」(中島氏)。
また、中島氏はこれらの燃費規制、騒音規制に加え高度道路交通システム(ITS)や、運転支援技術の発展も次世代タイヤの開発に影響を与える要因になるという仮説を提示した。近年、自動車メーカーはカメラやレーダーなどのセンサーを利用して、先行車両との車間距離を自動的に維持する運転支援システムを市販車に導入し始めている。中島氏が立てた仮設の背景には、こうした先進技術の普及に従って、自動車用タイヤに求められるブレーキ性能や操縦性能に対する比重は低下していくのではないかという見立てがある。
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