ハイブリッド車は、モーターやインバータ、電池パックなどの部品を追加することもあって、車室や荷室の容積に影響が出ることが多い。それに四輪駆動システムを追加するとなるとさらに影響は大きくなる。このため、四輪駆動対応のハイブリッド車というと、車高に余裕があるSUVがほとんどだ。
SH-AWDは、四輪駆動車としての高い操縦安定性だけでなく、この影響を最小限にとどめられることも特徴の1つになっている。セダンであるレジェンドの車室や荷室の容積を損なうことなく、四輪駆動対応のハイブリッド車に仕立て上げることに成功している。
車室内寸法は室内長2080×室内幅1540×室内高1155mm。4代目レジェンドと比べると、全長が4985mmから4995mmと10mm伸びただけにもかかわらず、室内長は55mm拡大している。これによって、後席の空間を大幅に広げることに成功した。荷室も、9.5インチのゴルフバッグを3個収めるレベルの容積を確保したという。
部品を追加するハイブリッド車の場合、車両重量も増加することになる。特に、モーターを3個用いるSH-AWDは、一般的なハイブリッドシステムよりも大幅に増加する可能性もある。しかし、4代目レジェンドの6速自動変速機と四輪駆動システムに用いるプロペラシャフト、新型レジェンドのモーター内蔵7速DCTとTMU(+電気ケーブル)、それぞれの合計重量はほぼ同じだという。つまり、モーター駆動のためのPDUと電池パックを中核とするIPUの分だけの重量増加で済ませることができた。車両重量は、4代目レジェンドの1820kgに対して、新型レジェンドは1980kgとなっている。
SH-AWDの開発を担当した本田技術研究所 第5技術開発室 第1ブロック 主任研究員の北見康夫氏は、「ホンダが得意とするFF車ベースに、自在なトルクベクタリングを実現できるSH-AWDを組み合わせたからこそ、新型レジェンドを最高の四駆ハイブリッドセダンに仕上げられたと考えている」と強調する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.