SH-AWDの構成は以下のようになっている。まず、エンジンルーム内は、横置きの排気量3.5l(リットル)のV型6気筒直噴エンジンに、最高出力35kWのモーターを内蔵する7速のデュアルクラッチトランスミッション(DCT)が接続されている。前部座席中央のセンターコンソール内には、3個のモーターを駆動するパワードライブユニット(PDU)を格納した。そして車両後部では、後部座席の裏側にリチウムイオン電池パックとDC-DCコンバータなどを一体化したインテリジェントパワーユニット(IPU)、最高出力27kWのモーターのトルクを左右の後輪に伝えるツインモーターユニット(TMU)が配置されている。
V型6気筒直噴エンジンは、ホンダの次世代技術「Earth Dreams Technology」の1つで、低出力時にV型6気筒のうち片側バンク3気筒を休止させる可変シリンダーシステム(VCM)に代表される「3ステージVTEC」と直噴技術を組み合わせて、高出力化と燃費向上を両立している。最高出力は231kW、最大トルクは371Nmである。
7速DCTは、「フィット ハイブリッド」のリコール問題で注目されたi-DCDが乾式の7速DCTであるのに対して、大排気量エンジンのトルクに対応できる湿式DCTとなっている。1速をプラネタリー式にしてモーターの中央スペースに配置する構造や、シェフラーの部品を使用している点は、i-DCDの乾式DCTと同じだ。
V型6気筒直噴エンジンは、低車速で穏やかな加速を行うとき、高速での巡航走行時のエンジンドライブモードで用いる。7速DCTのモーターは、低車速で穏やかな加速を行うときや四輪駆動走行時などにエンジンの余剰トルクを使って発電したり、減速時のブレーキ回生に用いたりする。基本的には、走行ではなく発電に用いるイメージだ。
一方、ホンダが「ドライバーとクルマの一体感とかつてないオン・ザ・レール感覚」(ホンダ)と呼ぶ、SH-AWDの四輪駆動システムとしての機能に多大な役割を果たしているのが後輪側のTMUだ。世界トップクラスの出力密度と低トルクリップルを両立した2個のモーターを、走行と発電の両方に用いる。
モーターのトルクを効率よく後輪のドライブシャフトに伝達するプラネタリー減速機構や、モーターの許容回転数を超える可能性がある高速域でも操縦安定性を実現するためにプラネタリー減速機構のリングギアを固定/解除するブレーキなど、さまざまな工夫が施されている。
TMUは、発進/加速時や、低/中速での巡航走行、四輪駆動走行時の駆動源として利用されるとともに、減速時のブレーキ回生にも用いられる。モーターだけで走行するいわゆるEV走行の際には、TMUのモーターを使い、7速DCTのモーターは使用しない。
SH-AWDのシステム最高出力は281kWで、V型8気筒エンジンを超えるという。
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