このように第2世代R-Carは、ハードウェアが高性能のR-Car H2から低価格のR-Car E2に変わったとしてもできるだけソフトウェアは共通利用したいという、自動車メーカーやティアサプライヤの要望を強く意識したプラットフォームになっている。
今回のR-Car E2の発表に合わせて、第2世代R-Carのアプリケーションソフトウェアやミドルウェアの開発を促進するために投入したのが安価なソフトウェア開発ボードである。ルネサスの第一ソリューション事業本部 車載情報システム事業部 車載情報戦略部の部長である吉田正康氏は、「車載情報機器の本格的なシステム構築や機能統合を行う評価キットは数十万円と高価だ。しかし、車載情報機器に用いる単体のソフトウェアを開発する用途であれば、今回発表したソフトウェア開発ボードを使ってほしい。数万円で入手できるように価格も抑え、複数の販売パートナーと連携してグローバルで提供できるようにする方針だ」と説明する。
通信機能をはじめモバイル機器の技術の導入が進む車載情報機器の開発では、Texas Instrumentsの「PandaBoard」に代表される安価な汎用の開発ボードが利用される機会も増えている。吉田氏は、「R-Car E2のソフトウェア開発ボードは、ディスプレイオーディオのような低価格の車載情報機器のソフトウェアを試すのに必要な機能があらかじめ組み込まれている。これに対して、安価な汎用の開発ボードでは車載情報機器向けのカスタマイズが必要だ」と違いを強調する。
また、R-Car向けのソフトウェアやツールなどを提供するパートナー企業と構成する「R-Carコンソーシアム」の活動も拡大基調にあることを報告した。現在の参加社数は140社で、2013年と比べて38社増加したという。
会見は、同日に開催されたR-Carコンソーシアムのプライベートイベント「R-Car Consortium Forum 2014」に併せて行われた。展示会場では、第2世代「R-Car」がさまざまなOSで利用できるフレキシビリティや、どのような規模の車載情報機器にも適用できるスケーラビリティ、車載情報機器のユーザーごとに設定を簡単に変更できるパーソナライズを示す展示が行われていた。
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